宇多丸 ジョジョラビット。 【朗報】今年の映画、「パラサイト」「ジョジョラビット」「ラストレター」「カイジ」と名作しかない

【朗報】今年の映画、「パラサイト」「ジョジョラビット」「ラストレター」「カイジ」と名作しかない

宇多丸 ジョジョラビット

net プホップグループ・RHYMESTERの宇多丸がパーソナリティを務めるTBSラジオ『アフター6ジャンクション』 毎週月曜〜金曜 18:00〜。 27日の放送では、宇多丸が映画評論コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」にて、2019年のシネマランキングトップ10を発表した。 今年扱った50本の映画の中から、宇多丸のランキングトップ10を発表するという年末恒例企画。 1位には、マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』が輝いた。 また、部門別「ゴールデン・タマデミー賞2019」として、ベスト新人賞、ベスト・ラブシーン部門、ベスト・残酷シーン、2019年シネマ流行語大賞などが発表された。 1位に『アイリッシュマン』が輝いた、シネマランキングトップ10は以下の通り。 net もしこのコーナーでガチャが当たった時に、肝心の舞台版を1回も見たことがないっていうのもあれだし、 そこからいきなりチケットを取って見に行こうとしても、その週のうちにっていうのはたぶん難しいだろう、 ということで、念のため、あらかじめ早くからチケットを予約して、この元日にようやく見てきたわけですね。 大井町のキャッツシアターに見に行った。 23 ID:p9GsQQqO0. 20 ID:aZ6Tll1S0. 33 ID:IsjnSB6p0. 59 ID:vr6WaUOc0. 44 ID:Ny9gMqnf0. 44 ID:1Ks0ZkN70. 48 ID:17XoMMYK0. 44 ID:Gky5aEYR0. net 宇多丸の映画評というか映画紹介はあまり面白くないな、やっぱり映画紹介するならストーリーを語って落ちまで言っちゃうくらいじゃないと 耳で聴いただけでは面白くない。 17 ID:rsnch1yA0. net 今知らんが、以前の映画評はくじ(サイコロ、ボール)で無作為 に選び出した作品を観て評論する形式だった。 結果、プリキュアやらテレビ屋映画を評論することに。

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町山智浩と山里亮太『惡の華』『宮本から君へ』を語る

宇多丸 ジョジョラビット

町山智浩さんがの中でトロントで開催中のトロント映画祭2019を現地からレポート。 『ジョーカー』『ジョジョ・ラビット』『真実』『パラサイト 半地下の家族』『マリッジ・ストーリー』を紹介していました。 (赤江珠緒)この時間は映画評論家・町山智浩さんのアメリカ流れ者。 今日は町山さん、カナダで行われているトロント映画祭の会場からということで。 向こうの時間は深夜2時。 丑三つ時の町山さん? (町山智浩)はい。 よろしくお願いします。 いまですね、カナダのトロントというところに来てるんですけど。 まあほとんどニューヨークに近いところなんですけども。 こっち、深夜2時です。 で、トロント映画祭というものの説明をしますとこれがいつもアカデミー賞のなんというか予想が出来る映画祭と言われてます。 ここでね、観客賞というものを普通のお客さんたちの投票で選ぶんですよ。 審査員じゃなくて。 で、それで選ばれた作品がアカデミー作品賞に引っかかってくるというのが毎年、ずっと続いているんですよ。 (赤江珠緒)おおーっ! (町山智浩)で、去年は『グリーンブック』という映画がありましたね。 1960年代の非常にアメリカで黒人差別がひどかった時に、黒人のジャズのピアニストが南部のいちばん差別のひどいところにツアーに行った時の実話の話でしたけど。 あれ、結構コメディで笑えたんですけど。 あれはね、トロント映画祭で上映されまで誰も注目してなかった映画なんですよ。 (赤江珠緒)そうなんですか! (町山智浩)はい。 トロント映画祭でかけたら、なんかすごい映画だったっていうことが口コミで広がって。 そこから……トロント映画祭って10日間ぐらいあるんですけど、途中からお客さんがどんどん集まっていって。 「これはすごい!」っていうことでアメリカで公開をする時に拡大公開になったんですよ。 だからこのトロント映画祭で観客、普通のお客さんたちにウケるとアメリカで拡大公開されて。 ウケないと劇場数が少なくなるんです。 (赤江珠緒)うわー、すごい意味合いの映画祭ですね。 そうなると。 (町山智浩)ものすごいです。 カンヌ映画祭なんかはビジネスというよりも、あれは審査員が選ぶんですね。 だから玄人好みなんですよ。 アート系の映画とかが賞を取ったりするんですね。 でも、トロント映画祭は本当に普通の観客の人たちにどの映画がウケたか?っていうことがよくわかるんですよ。 (赤江珠緒)じゃあ、もうヒットするかどうかみたいなのがシンプルにわかるっていうか? (町山智浩)そうなんです。 だからこれまで、ここで注目された映画って『シェイプ・オブ・ウォーター』。 アカデミー作品賞を取りましたよね? ギレルモ・デル・トロの半魚人の恋の映画でしたけど。 あれとか、『ラ・ラ・ランド』とか。 こういった映画がここで試されていく感じなんですよ。 で、みんな注目して。 ビジネスの人も、映画評論家もみんな来て。 僕も毎年来ているんですけども。 (赤江珠緒)どのぐらいの数の作品が上映されるんですか? (町山智浩)数は……いま、いきなり言われてもパッとでないですけども。 10日間で毎回ごとに10本ぐらいの映画を1日に5本ぐらいやるんですよ。 すごいんですよ。 僕は明日の朝も8時から見なきゃならないんですよ。 (赤江珠緒)ああ、そうですか。 手元に来た資料によると400作品ぐらいが上映されるという。 はー! (町山智浩)すごいですね。 もちろん全部は見れないです。 明日はね、朝から『フォードvsフェラーリ』というね、昔フォード自動車とフェラーリがレースで争っていた頃の映画を見に行きます。 ものすごい大好きなんで見に行くんですが。 『ジョーカー』 (町山智浩)それで、さっき見てきたのが『ジョーカー』っていう映画なんですね。 あのバットマンの宿敵ジョーカーがいるじゃないですか。 あれがどうやって普通の人がジョーカーになってしまったか?っていうのを描いている映画で。 日本では10月4日公開ですけども。 これがまあ、アメコミ映画じゃないですか。 でもベルリン映画祭で金獅子賞っていう、グランプリを取ったんですよ。 (赤江珠緒)へー! : Wow. Joaquin Phoenix and Todd Phillips summon dark mojo for a descent into madness, for the origin story to beat all origin stories. Forget comic books — this is disturbingly too close to modern alienation to be dismissed as mere fantasy. — Peter Howell peterhowellfilm (町山智浩)だから、まあすごい映画でしたよ。 1人の……ホアキン・フェニックス扮するコメディアンになりたい人。 駆け出しコメディアンがいて、仕事がないからピエロの格好して子供の病院とかを回ったりしてるコメディアン志願の人が、だんだんジョーカーになっていくっていう話なんですよ。 ジョーカーというのはすごく特殊な悪役で。 破壊活動とか大量虐殺とかするんですけど、目的がないんですよ。 バットマンの敵なんですけども。 (赤江珠緒)うん。 (町山智浩)で、何のためにそれやってるのか、全く本人には理由がなくて。 理由を聞くと「世の中や人生、現実なんてものはただのジョークだからね」としか言わないという、もうすごく一種哲学的な敵なんですよ。 金儲けじゃないんですよ。 (赤江珠緒)でもそれだけにタチが悪いな。 (町山智浩)だからお金、札束を焼いたりするんですよ。 だからなんでこんな風になってしまったのか?っていう話で。 まあ、その売れない芸人さんがとにかく悲惨で悲惨で悲惨なんですよ。 それでどん底まで追い詰められていって、ジョーカーになって、自分を解放して、大量虐殺に向かうんですけどね。 (山里亮太)はー! そうやってあのジョーカーは生まれたんだ! (町山智浩)まあ、すごい話でしたよ。 これね、監督はトッド・フィリップスという人で。 この人は『ハングオーバー』シリーズというコメディをずっと撮っていた人なんです。 だから、お笑いは徹底的にわかっているんです。 お笑いというものは、ひっくり返すと恐ろしいものなんだということを描いている映画なんですよ。 (山里亮太)だいたいジョーカーを演じる人って、なんかいろいろ大変になったりするっていう……。 (町山智浩)そうなんです。 バットマンシリーズの『ダークナイト』でジョーカーを演じたヒース・レジャーという俳優さんはジョーカーになりきるあまり、精神がおかしくなっていって。 まあ、それで亡くなったんですよね。 どんどんと追い詰められていくみたいなんですよ。 で、今回のホアキンフェニックスは大丈夫だと思います。 (赤江珠緒)あ、そうですか? (町山智浩)毎回毎回、こういう役ばっかりなんです、この人は(笑)。 どの映画もジョーカーしてる役ばっかりなんですよ。 慣れているから(笑)。 でも、今回はまあすごいですよ。 アカデミーに行くと思いますよ、この映画。 (山里亮太)おお、これが? (町山智浩)作品賞も……主演男優賞はもちろんですけどね。 監督賞も行くかもしれない。 ノミネートされて、アカデミー賞の歴史を変えるかもしれない映画が『ジョーカー』でした。 すごかったです。 『ジョジョ・ラビット』 (町山智浩)でね、あとは昨日、『ジョジョ・ラビット』っていう映画も見たんですよ。 これはね、第二次大戦末期のドイツが舞台で。 主人公は10歳の男の子なんですけど。 ヒトラーの子供のボーイスカウトみたいなもの、ヒトラーユーゲントに入っているんですね。 で、彼は心優しい弱虫の男の子なんで、まあみんなにいじめられたりしてるんですけど。 そうすると、そのイマジナリー・フレンドっていうのがいるんですよ。 これは、気が弱い子とか友達のいない子とかが想像の中で友達を作って、話しかけたりすることがあるんですね。 (赤江珠緒)うんうん。 妄想の中のお友達。 (町山智浩)そうそう。 それがいて、このジョジョくんには妄想の中の友達がいるんですけど、それがヒトラーなんですよ。 (赤江珠緒)えっ? ヒトラーなの? (町山智浩)ヒトラーなの。 で、みんなにいじめられたりすると、ヒトラーが出てきて。 「ジョジョ、気にすんなよ!」って慰めたりするんですよ。 とんでもない映画でしたよ。 (赤江珠緒)ちょっと不思議な映画ですね。 それ……ええっ? (町山智浩)これでね、ヒトラーを演じてるのはタイカ・ワイティティっていう人なんですよ。 この人はマオリ族の人です。 ニュージーランドの先住民の人です。 それで、ユダヤ人でもあるんですよ。 (赤江珠緒)ええっ? それで、ヒトラーを自身が演じるんですか? (町山智浩)ヒトラーを演じる。 ヒトラーはすごく有色人種をバカにしてて。 それでユダヤ人を虐殺したんですけども。 その両方であるタイカ・ワイティティさんがヒトラーを演じるっていうことで。 彼、タイカ・ワイティティさんは「これはヒトラーに対する最大の侮辱だぜ、イエーイ!」って言ってるんですね。 : Taika Waititi knocks it out of der park with the meaningful lunacy of his anti-hate satire. Title 10-year-old, a Nazi in training with Hitler as an imaginary friend, has something to learn: love conquers hate, and laughter makes it easier. — Peter Howell peterhowellfilm (赤江珠緒)ああーっ! (町山智浩)で、これはコメディです。 (赤江珠緒)ええっ、コメディ? (町山智浩)タイカ・ワイティティさんはね、この間『アベンジャーズ』シリーズのマイティ・ソーが主人公の『マイティ・ソー/バトルロイヤル』っていう映画を監督したんですけど。 シナリオは普通にあるんですけど、撮影の時に俳優たちに全部アドリブでギャグをやらせて。 何回もテイクを撮って冗談をやらせて、それをつないでギャグ映画にしちゃった人なんですよ。 とんでもない……この人自身がだからコメディアンなんですね。 そういう人で、この人はこの間まで大友克洋さんの『AKIRA』を映画化するっていう企画の監督をやるはずだったんですよ。 (山里亮太)ああ、そうなんですね? (町山智浩)やらないでよかったです。 だってこの人、現場で全部アドリブでジョークをやらせて、それをつなぐから『AKIRA』がコメディになっちゃうんですよ。 (赤江珠緒)でも、ポスターを見るとすごいヒトラーっぽい感じになってる。 この監督が。 (町山智浩)ねえ。 とんでもないですよ。 完全に茶化しているんですけども。 もうヒトラーが大嫌いだからね。 それが『ジョジョ・ラビット』というとんでもない映画でしたけど。 あと、是枝裕和監督のフランス映画『真実』。 日本では10月10日公開のこれも面白かったですよ。 (赤江珠緒)ああ、あの『万引き家族』の是枝監督が。 是枝裕和監督『真実』 (町山智浩)そうです。 カトリーヌ・ドヌーヴが主演なんですね。 ご存知ですか? (赤江珠緒)もちろん。 フランスの大女優ですよね。 (町山智浩)フランスの最大の女優なんですけども。 彼女、まあもうお歳なんですが70ぐらいかな? で、彼女が大女優の役なんですよ。 ジュリエット・ビノシュがやっているんですけど。 それで「お母さん、あんたが書いた回顧録、嘘ばっかりじゃないの!」って怒ってくるんですよ。 もう自分のこととかも嘘ばかり書いてあると。 で、このカトリーヌ・ドヌーヴ扮する女優が、あまりにも女優しすぎているので、どこまでが芝居でどこまで嘘かとか、全然わからないんですよ。 なにかしゃべる時もいつも芝居がかっていて。 で、過去も全部面白くドラマチックにしちゃうんで。 何が本当かわからないから『真実』っていうタイトルの映画なんですね。 (赤江珠緒)周りはこれ、翻弄されますね。 (町山智浩)そう。 それですごくこの女優さんが意地悪なの。 若い監督の映画に出るんだけど、その監督をもう完全に名前も覚えちゃいないし。 で、「あんた、わかってないわね!」みたいなことばかり言っている、意地悪なんですね。 でね、見ているとね、樹木希林さんに見えてくるんですよ。 (赤江珠緒)はー! (町山智浩)是枝監督の映画ってずっと樹木希林さん、何度も出ているんですよね。 でね、ほとんどアドリブをカマしてくるらしんですよ。 撮影中に。 で、カトリーヌ・ドヌーヴはどこまでかは分からないんですけど、樹木希林さんもカトリーヌ・ドヌーヴも、これは是枝監督に直接聞いたんですけども。 とにかく監督とか脚本とかにやたらとダメ出しをするらしいんですね。 「わかってないわね。 あんた、人ってものがわかっていない。 恋っていうものがわかっていないわね」って潰しにかかってるんですよ。 だからすごく似ていて。 顔は全く似ていないんですけども、カトリーヌ・ドヌーヴが樹木希林さんに見えてくるという恐ろしい映画が『真実』でしたね。 (赤江珠緒)へー! (町山智浩)で、是枝監督の映画ってコメディが基本的に多いですけども。 これも見ているみんながクスクスクスクス笑っていて、すごい面白い映画でした。 フランス映画っていう感じじゃなくて、いつもの是枝監督の映画です。 (赤江珠緒)ああ、そうですか。 ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』 (町山智浩)で、楽しかったんですけど。 あともう1本、すごかったのがこれはカンヌ映画祭ですでにグランプリを取ってるんですけども。 韓国映画で『パラサイト 半地下の家族』っていう映画があって。 これがね、また是枝監督の『万引き家族』にすごくよく似ているんですよ。 The first of many reviews has been uploaded to. Read the review right now for the year's best film so far , PARASITE. — KavehJReviews kavehjreviews (町山智浩)で、ソン・ガンホっていう『タクシー運転手』でタクシー運転手の役をやっていた彼がいますよね? 彼がこれがダメ一家の父親なんですよ。 で、これ監督はね、ポン・ジュノ監督という人で、ソン・ガンホさんを使ってダメ一家のお父さんであるソン・ガンホが娘を守るために大怪獣と戦うって映画も撮っている人なんですけど(笑)。 (赤江珠緒)ああ、『グエムル-漢江の怪物-』ですね。 見ました、見ました。 (町山智浩)そう。 あれとほとんど同じでダメオヤジとダメ一家なんですね。 で、あれは怪獣と戦ったんですけど、今回の『パラサイト』は金持ち一家と戦うんですよ。 (赤江珠緒)ほう、うん! (町山智浩)『アス』っていう映画がいま、公開中ですけど。 あれは金持ちの一家にそのそっくりの姿の貧乏な一家が侵略をしてくるっていう話なんですね。 金持ち一家のところに着て、貧乏一家がその家を暴力で乗っ取ろうとする話なんですけど。 この『パラサイト』は貧乏一家が金持ち一家の家になんとなく入ってくんですよ(笑)。 いろんなことで……だから家庭教師として入っていったり、運転手さんとして入っていったり、お手伝いさんとして入っていくんですよ。 (赤江珠緒)うんうん1 (町山智浩)で、少しずつ金持ちの家を乗っ取っていくんですね。 これね、面白いなと思ったのは是枝監督の『万引き家族』もそうだし、『アス』もそうだし。 あれはアメリカ映画ですけども。 で、この『パラサイト』は韓国映画なんですけど、どれもテーマは同じなんですよ。 格差社会における家族と家族の戦いなんですよ。 これは面白いなと思ってね。 まあ、世界中で深刻な問題になってるんだなと思いましたね。 貧困から脱出できなくなっている家族がいっぱい増えるということだと思います。 ただね、コメディですからね。 (赤江珠緒)この『パラサイト』は。 (町山智浩)『パラサイト』はコメディなので、もう客はヒーヒー言って笑ってましたよ。 途中からね、とんでもない展開になっていくんですけども。 見てると本当にお腹が痛くなるっていう。 笑って痛くなるんじゃなくて、見てると「どうするんだ、これ?」みたいな痛さってあるじゃないですか? ハラハラして。 そうやってね、悶絶しながらみんな見ていてね、おかしかったですけども。 (赤江珠緒)へー! 徐々に自分の領域を広げていくみたいな。 (町山智浩)そうそう。 だからね、そのダメ家族に見ているうちに感情移入していくから。 なんかね、まあ最後の方はとんでもない話になります。 もう地獄絵図になっていきますけども。 (山里亮太)地獄絵図に?(笑)。 バッドエンドに向かって(笑)。 (町山智浩)まあ、あんまり言いませんが。 これすごいです。 これが『パラサイト』ね。 で、あとすごくよかったコメディ映画でね、『マリッジ・ストーリー』という映画を見たんですよ。 (赤江珠緒)はい。 『マリッジ・ストーリー』 An incisive and compassionate portrait of a marriage breaking up and a family staying together. stars Scarlett Johansson and Adam Driver—with stand out performances by , , and. In select theaters and on this fall. — Marriage Story MarriageStory (町山智浩)これ、ネットフリックスの製作なんでちゃんと劇場公開はなかなかできないと思います。 日本はその劇場さんがそのネットフリックスの映画を劇場でかけたがらないのでね。 商売敵だから。 でね、ただこの『マリッジ・ストーリー』はすごくよくて。 まず主演がスカーレット・ヨハンソンなんですよ。 『アベンジャーズ』シリーズでブラック・ウィドウをやってる人ですね。 で、この人はちゃんとした映画にあんまり出ない人で昔、日本で撮影した映画で『ロスト・イン・トランスレーション』という作品で注目された人なんですけど。 あれ以降は結構ブロックバスターばっかりに出てた人なんですよ。 で、今回はお母さんの役です。 スカーレット・ヨハンソンが普通のお母さんというのをすごくちゃんと演じてる映画なんですよ、今回。 でね、その旦那が最近の『スター・ウォーズ』シリーズでハン・ソロのダメ息子のカイロ・レン役をやっていたアダム・ドライバーなんですよ。 (赤江珠緒)ほう。 はいはいはい。 We'll share more stories from the cast and crew when MARRIAGE STORY premieres on worldwide in December. Anticipation! — Netflix Film NetflixFilm (町山智浩)あのあのブチ切れて八つ当たりしたりしているどうしようもない敵役でしたけども。 それが夫婦なんですよ。 で、アダム・ドライバーはニューヨークの演出家で、ハリウッド女優がスカーレット・ヨハンソンで夫婦なんですけども。 これ、実際の監督の夫婦の実話を元にしてます。 これ、監督はノア・バームバックという人で、この人はジェニファー・ジェイソン・リーっていうハリウッド女優と結婚してたんですね。 それで離婚して、1人息子の親権争いした時の話をそのまま映画にしてるんですよ。 (赤江珠緒)ふーん! すごいリアルな話。 (町山智浩)それが『マリッジ・ストーリー』なんですけども、これが コメディなんですがやっぱりものすごくおかしいんですけど切ない映画で。 親権争いをするためには、裁判でその自分がいい親であることを争うことになるんですよ。 どっちがいい親か? で子供のその所有権が決まっちゃうわけですよ。 で、「いい親アピール」をするんだけど、このお父さんが何をやってもうまくいかないんですよ(笑)。 (赤江珠緒)フフフ、そうなんですね。 へー! いま、ちょっと画像を見てますけど、また子供がかわいいな! (町山智浩)子供がかわいいんですよ。 で、お母さんの方が何をやらせてもうまいんですよ。 で、これは昔、『クレイマー、クレイマー』っていう映画がありましたね。 ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープがやっぱり1人息子の親権争いをする映画で。 やっぱりいい親アピールをして裁判で戦うんですけど。 お父さんの方は何をやってもダメなんですよ。 だからもう、あれの現代版なんですけど、まあ本当にダメオヤジでね。 もう他人事じゃないですけども。 (赤江珠緒)フハハハハハッ! そうですか。 (町山智浩)ただ、これ財産はどんな条件があっても、これはカリフォルニアなんですけども。 他の裁判に持ってくのね。 彼女、ハリウッド女優だから。 だからどんなことがあっても、財産は二分割なんですよ。 夫婦は。 それでは争えないんですよ。 どっちにミスがあっても、二分割なんです。 (赤江珠緒)ああ、そうなんですね。 へー! (町山智浩)だからこれで寝、すごいのはこの監督の方がですね、マッカーサー基金という奨学金のようなものをもらうんですよ。 それは、アメリカの芸術家とか支えてるすごい莫大なお金をもらえるものなんですけども。 実際にそれをもらったらしいんですが、それまで分割されちゃうんですよ。 一種の奨学金だよ? (赤江珠緒)そういう金銭的なところはもう決まってるんだ。 (町山智浩)ねえ。 ひどい話だなと思って。 で、まあとにかくこれも笑ってしまう作品なんですけども。 最初の方で結婚セラピーに行って、お互いに「なんで結婚したの?」っていうことをセラピストに聞かれるんですね。 で、「お互いの好きなところを全部リストにあげてください。 自分が離婚するっていうことで、それを見つめ直すことができるでしょう」っていうことで、そのお互いの好きなところを全部リストであげるんですよ。 夫婦で。 スカーレット・ヨハンソンとカイロ・レンがね。 すると、いますごく離婚で争っているんだけども、でも好きだった頃はこんなに好きだったんだっていうことがどんどんどんどんと出てくるんですよ。 (赤江珠緒)うんうんうん。 (町山智浩)で、それが全部、好きだった時の映像で出てくるんですよ。 たとえば、「あなたは映画館に行くとちょっとしたことで感動して泣いてたわね。 そういうところ、好きよ」とかね。 「君はよく道端でお金ほしがってる貧しい人がいたり、寄付を求めたりする人がいると、お金を全部あげてたね。 そういう優しいところ、好きだな」とか。 そういう相手の好きなところをずーっと並べていくんですよ。 それが何度も蘇ってきて、切ないんですよ。 なんでお互いのことを嫌いになっちゃったんだろう? こんなに好きだったのに……っていう。 まあ、この『マリッジ・ストーリー』は本当にね、ゲラゲラ笑うんですけども本当に切なくてね。 素晴らしい映画でしたね。 (赤江珠緒)すごいですね。 起きていることは悲劇だけど、喜劇にもなってるっていう。 (町山智浩)うん、だからみんなそうなんです。 さっきから紹介している映画は全部喜劇で。 全部コメディで全部悲劇でもあるという。 同じものなんですね。 (赤江珠緒)ねえ。 テーマは全くいろいろですけどね。 (町山智浩)はい。 ということでね、まだ映画祭は途中なんで。 明日も朝早起きして行ってきます。 (赤江珠緒)わかりました。 すみませんね、夜遅くに。 ありがとうございます。 (町山智浩)もう寝ます。 2時半なんで。 (赤江珠緒)『ジョーカー』は日本では10月4日公開ですね。 是枝監督の『真実』も10月11日に日本公開。 ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月予定ですね。 日本公開は。 で、『ジョジョ・ラビット』も1月予定となっております。 で、『マリッジ・ストーリー』に関してはまだわからないということで。 今日はトロント映画祭の会場から町山さんに最新リポートしていただきました。 町山さん、ありがとうございました。 (山里亮太)ありがとうございました! (町山智浩)どうもでした! <書き起こしおわり>.

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「ジョジョ・ラビット」は喜劇であり少年の成長譚であり「このドイツの片隅に」でもあ文字数

宇多丸 ジョジョラビット

TBSラジオ『アフター6ジャンクション』の看板コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」。 ライムスター宇多丸が毎週ランダムに決まった映画を自腹で鑑賞し、生放送で評論します。 今週評論した映画は、 ( 2020年 1月 17日公開)。 今夜扱うのはこの作品 ……。 日本の公開作で言うと『マイティ・ソー バトルロイヤル』などで知られる、タイカ・ワイティティが監督を務め、第 92回アカデミー賞で作品賞ほか 6部門でノミネート、そして脚色賞を受賞した人間ドラマ。 第二次世界大戦下のドイツ、立派な兵士になる日を夢見る 10歳の少年ジョジョは、ある日、母親がこっそり匿っていたユダヤ人の少女を見つけてしまう ……。 出演は、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビスの他、母親ロージー役のスカーレット・ヨハンソン、教官役のサム・ロックウェル、レベル・ウィルソンなど。 監督のタイカ・ワイティティが、ジョジョの空想の友達であるアドルフ・ヒトラーを演じている、ということになっております。 ということでね、アカデミー賞でも評価が非常に高かったというこの『ジョジョ・ラビット』を、もう見たよ、というリスナーのみなさま、<ウォッチメン>からの監視報告(感想)をメールでいただいております。 ありがとうございます。 メールの量は、「多め」。 ありがとうございます。 賛否の比率は「褒め」が 9割、否定的意見が 1割。 「今年ベスト」「人生ベスト」「大好きな映画」と熱烈な声が目立ったということでございます。 褒めている人の主な意見は、「愛くるしいジョジョ少年の成長を描きつつ、戦争の残酷さにもちゃんと向き合っている」「コメディとしてセンスが良く、キュートさもあるが重さもあってズシンと残る」「スカーレット・ヨハンソンもよいが、またしてもサム・ロックウェルがよかった」などなどがございました。 また『この世界の片隅に』と共通点を挙げる人も多かったというね。 まあ僕もちょっと連想する瞬間がありましたけどね。 一方、主な否定的な意見は、「ドイツが舞台なのに、なぜ登場人物たちが英語をしゃべっているのか?」。 『イングロリアス・バスターズ』はそこをちゃんとやってる、という話をね、映画評の時にもやりましたけどね。 「ジョジョくんがあまり成長していない」「少年の成長や家族の愛を描くのに、あるいは反戦や反ヘイトのメッセージを描くのに、なぜわざわざナチやホロコーストを持ち出すのか?」などがございました。 「きたあかり」さん。 「今作は第二次大戦の、それも主犯国というか、ドイツが舞台で、さらにイマジナリーフレンドとしてのヒトラーを動かしておきながら、映画全体としてはかなりポップで明るい物語です。 おそらくこの描き方に違和感を覚える人もいるでしょう。 でも私はこの映画は悲惨な過去が現実から逃げてはいないと思います。 むしろ、立ち向かっていると思います。 この映画の主人公はまだ子供のジョジョです。 陽気で楽しげでおもちゃ箱のようなこの映画に一貫してる空気は、彼が見ている世界そのものです。 だからきっと大人たちが感じていた本当の意味での戦争のシリアスはあまり見えず、現象として描かれるのはジョジョの周りで実際に起きてしまった出来事だけでした。 しかし、ジョジョのようなナチに対して無邪気に好意を抱いていた子供たちは実際に存在したわけで、それは親切にもオープニングで流れるビートルズのメロディーに乗せて示してくれます。 ちっともおとぎ話ではないのです。 このような戦争映画で凄惨な演出をしようと思えばいくらでもできたと思います。 ですが、ジョジョの周りにいたキャラクターたちは皆、とても優しくて強い人ばかりでした。 そんなつらい最中、『きれいごとを』と考えるのは当然であり、簡単なことですが、でもそんなことは百も承知でしょう。 それでも美しく生きていくことの素晴らしさを信じて、祈りのような気持ちをジョジョに、ひいては映画に託したのではないかと私は思います。 母がダンスをしたように、ジョジョはぎこちなくステップを踏みました。 それが全てなんじゃないでしょうか。 こんな作品がこの世に存在してくれているというだけで強く生きていけるような、そんな作品が人それぞれあるとは思いますが、『ジョジョ・ラビット』もそんな映画のひとつになりました。 本当に大好きな 1本です」ということでございます。 一方、ダメだったという方。 これね、和歌山の書店、「本屋プラグ」の嶋田さん。 本屋プラグさんね、僕が和歌山にツアーに行った時に寄らせていただいて、この番組でもお話をしました、素晴らしい書店さんでございます。 本屋プラグの嶋田さん。 嶋田さんはちょっとね、作品としての質の高さとか俳優陣の良さみたいなことはもうわかった上で、それもいろいろと列記していただいた上で、それでもですね ……。 「 『俺がこの映画の悪口を言わなければ誰が言う!』という使命感を持ってメールさせていただきます。 『ジョジョ・ラビット』、結論から言えば全くダメでした」と。 それでまあ、いろいろと書いていただいているんです。 (映画としては)すごく質も高いんだけど ……「『ライフ・イズ・ビューティフル』が人生ワースト級に、もはやトラウマレベルで苦手なので予告から嫌な予感をしていました」という。 ちなみに僕も、『ライフ・イズ・ビューティフル』は、ちょっといただけない派です。 それで、まあとにかくいろいろ書いていただいているですけども ……。 そういうことじゃない、と。 「ホロコーストは『昔昔、あるところで』でも『ここではないどこか』の話ではないのです。 ほんの半世紀前のヨーロッパで起きた出来事であって、寓話といえども多くのユダヤ人の少女エルサのような人々が実際に命を失ったリアルと対峙するのに、その命を左右する力を持った主人公の少年のリアリティーのなさはあまりに軽薄で、さらにそれが無邪気なナチ信奉者となれば、その素直さというかバカさ加減。 『こんなバカが 1人の人間の命を左右する力を持ってしまうのか』と呆れを通り越して醜悪とまで感じてしまいました」という。 それでですね、まあとにかくそれが美談に落としこまれるのもどうかと思う、というようなことをお書きいただいて。 「こうした映画が 2020年の今、公開されてまた評価されているのは、もちろんナチの悲劇を忘れないというメッセージではなく、今現在も行われている様々なヘイト、差別に対抗するというメッセージとして受け入れられているのだと思います。 が、しかし、そうした現在進行形のヘイトや差別に対抗するなら、現在進行形のヘイトや差別を描けばいい。 わざわざナチを引っ張り出してこなくてもよいのではないか? 結局ナチとホロコーストを描く必然性が見い出せない作品でした。 映画としての完成度が高いだけに残念です」というね。 これもまあちょっと理はあるかな、というご意見だと思います。 ということで皆さん、メールありがとうございます。 私も『ジョジョ・ラビット』、 TOHOシネマズ六本木と TOHOシネマズ日本橋で 2回、見てまいりました。 特に六本木で見た時はですね、アカデミー賞発表直前だったのもあるんでしょうかね、もうほぼ満席で。 すごい人が入っていましたね。 ということでですね、その 先日発表された第 92回アカデミー賞で、脚色賞を獲得した一作という。 つまり、原作があるわけです。 クリスティン・ルーネンズさんという方の『 Caging Skies』という小説で、これ日本語訳が出てないので、今回僕はですね、 Kindleの英語版をダウンロードして、頑張って読んだ ……気になった、っていうね、状態でございます(笑)。 もう「読んだ気」です。 あくまでもね。 で、とにかくナチスに心酔している、ヒトラーユーゲントに入団とかをしている少年の目線を通して、第二次大戦ドイツを描き出していく、というこの小説に、今回の映画は、大胆な独自のアレンジを加えている。 たとえばその、少年のある種、父親代わりでもある想像上の友達、 イマジナリーフレンドとして、なんとアドルフ・ヒトラーその人が登場する。 これは小説にはないディテールなんですね。 小説では、お父さんが一応ちゃんと出てくるんですよね。 で、映画版ではお父さんが不在の代わりに、そのお父さん代わりの位置に、そういうイマジナリーフレンドとしてのヒトラーが出てくる。 これは映画独自のアレンジです。 あとは全体的に、ファンタジックですらあるようなコメディタッチで描く、とか。 そういう、まあ下手したらかなり非難を集めてもおかしくない ……もちろんそこをもって、先ほどのメールのような意見があってもおかしくない、まさに大胆きわまりないアレンジを施して。 その結果、見事な成果と評価を残してみせたのが、本作の製作・脚本・監督、そして前述の少年のイマジナリーフレンドとしてのヒトラー役というのを、チャップリンばりに ……というより、わりとはっきりと、 メル・ブルックス寄りですね。 メル・ブルックスっぽいバランスで演じている、タイカ・ワイティティさん。 まあニュージーランドの方で。 お父さんがニュージーランドの先住民マオリ族で、お母さんがロシア系ユダヤ人。 つまり、「マオリ系ユダヤ」という出自を持つ方です。 今回はまず、このタイカ・ワイティティさんという才人の名前を覚えて帰ってね、というのがまあ、ひとつの一番の大きなポイントじゃないでしょうか。 今後、間違いなくね、様々なシーンで名前がさらに出てくる方だと思いますが。 日本ではですね、しかし一般劇場公開されてる作品が、実は少なくて。 辛うじて、 2014年、これは共同監督ですが、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』というモキュメンタリー作品と、あとは『マイティ・ソー バトルロイヤル』。 まあ(原題は)『マイティ・ソー ラグナロク』ですね。 それくらいしか日本では劇場で一般公開されてないんですが、実は、特に長編二作目の『ボーイ』という 2010年の作品、あとは四作目になるのかな、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』を挟んでの、『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』、これは 2016年の作品。 こちらの『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』というほうは、日本でも配信が見られます。 僕もこのタイミングで見ましたけども。 『デッドプール 2』のファイヤーフィスト役の少年、ジュリアン・デニソンくんが、おそらく ……要するにこの作品での好演があって、その『デッドプール 2』のファイヤーフィストにたぶん抜擢されたんであろう、という主演作『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』。 この二作、いずれもですね、少年を主人公とするコメディで、ニュージーランド本国の歴代興行収入記録を、最初に『ボーイ』が更新して、それでその次にこの『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』がまた塗り替えた、という。 要するに、すでにかなりすげえキャリアの持ち主だったわけです。 だから我々、その『マイティ・ソー バトルロイヤル』の時に、「えっ? 『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の人だよね? よく抜擢したな」って思ったけど、そういうことじゃないんですね。 もともと実績がある人。 それで、その意味では今回の『ジョジョ・ラビット』も、まさに彼の十八番たる題材なんですね。 少年物、というのは得意なわけです。 しかし、やはりそれでもなお本作、この『ジョジョ・ラビット』が、タイカ・ワイティティのキャリアをさらにね、本当にアカデミー賞レベルにまで押し上げる特別な 1本となり得たのは、やはりひとえにですね、 まあナチス物だからですね。 やっぱりアカデミー賞はナチス物、強い、っていうのはありますよね。 ユダヤ系の方、すごくアメリカの映画界は多いですから。 ナチス物が強いっていうのはありますし、ナチス物として非常に大胆かつ斬新な ……そしてやはり、分断と憎悪が渦巻く現在の世界とも、非常に切実に接続する作品だったから、ということが当然、あるわけです。 冒頭からとにかく徹底しているのはですね、 10歳の少年の目線。 彼から見た世界、彼が感じた世界である、ということが徹底されているという。 まあもちろん、先ほどのメールでも例として出てましたけど、たとえば『ライフ・イズ・ビューティフル』、あれもね、その無垢な少年が、悲惨な現実に対して、幻想というかね、その頭の中の世界で対抗する、というのは似てるんだけど、『ライフ・イズ・ビューティフル』は、客観視点がやっぱりちょいちょい入る、と言うか、(少年に現実を見せまいと奮闘する)お父さん側の視点というのがメインですから。 それに対してこっちは、完全に子供の視点がずっと通されている。 まず、カメラが基本、その主人公ジョジョくんの背丈を基準に置かれてるわけですね。 低いわけです。 なので、大人たちの顔や身体が、結構画面から切れてることも多かったりする、という。 で、たとえばそれを使った演出として、そのスカーレット・ヨハンソン演じるお母さんが、白と茶のコンビがすごくお洒落なパンプスを履いているわけですね。 で、そのパンプスの足だけが見える。 ジョジョ目線でそのパンプスの足だけがですね、お母さんがちょっと高いところに立っていて。 そのパンプスだけがこう見えている、という、非常に印象的な画面の切り取り方をしてるわけですけど。 まあそんな感じでもう、画面構成もジョジョくんの視点になっているし。 とにかく 10歳の少年の目線、彼から見た、彼が感じた主観的世界、というスタンスで、語り口が徹底している。 その表れとして、たとえばすごくシンメトリックな構図、左右対称な構図が頻出したりとか、要はグラフィカルな画面構成 ……あとは、箱庭のようにファンシーでカラフルな、美術とか衣装など、ビジュアル的なデザインがすごくかわいくおしゃれで、隅々まで行き届いてる感じなんですね。 なので、すごく映画として、まずルックがすごいチャーミングなわけですよ。 まあ一番やっぱり連想するのは、 ウェス・アンダーソンですね。 ウェス・アンダーソン作品のように ……特にやっぱり、少年が主人公で、ちょっとボーイスカウト的なね。 ヒトラーユーゲントのキャンプがボーイスカウト風だから、やっぱり『ムーンライズ・キングダム』はすごい連想するし。 あと、 『天才マックスの世界』とかね、そういうのをちょっと連想したりする感じなんです。 『天才マックスの世界』と言えば、僕は今回『ジョジョ・ラビット』を見ていて、サム・ロックウェルが演じるそのナチス将校、それがちょっとこう、ダルそうな、「引いたスタンスのいい人」っていう感じなんですね。 その感じが ……あとはその少年との、歳の離れた友情感とかが、『天才マックスの世界』の、ビル・マーレイの校長の感じにちょっと近いな、なんて思って見ていたんですけども。 これ、『 BANGER!!! 』っていうサイトでのサム・ロックウェルへのインタビューを読んだらですね、本当に、 実際ビル・マーレイを参考にしました、っていう風に、サム・ロックウェルは言ってました。 あと、あれですね。 彼の部下で、おそらくゲイのパートナーでもある、ほぼセリフなしなんだけども、アルフィー・アレンさん。 これは『ゲーム・オブ・スローンズ』のシオン(・グレイジョイ役)ですね。 もう最高です! シオン役だったアルフィー・アレンさんが、セリフないのに、すごい存在感ですね。 それも素晴らしかったです。 言うまでもなくホロコースト、いわゆる「ショア」という、人類史上最悪の事態が進行していた時代、場所でもあって、という。 なので、特に序盤はですね、もちろん意図的なものなわけですが、観客は、特にちゃんと歴史の知識が ……当然あるべきなんですが、ある観客は、 まあなかなか微妙なというか、結構居心地の悪い思いをしながら見ることになる、という。 冒頭から、とにかくそのジョジョ少年は、無邪気にそのナチス、およびヒトラーを信奉しているわけですね。 演じてるローマン・グリフィン・デイビスさん。 これ、なんと映画初出演ということなんですけども。 オーディションで選ばれた。 単にかわいいだけじゃなくて、どことなく僕は、『ブリキの太鼓』っていうドイツ映画がありますけども、そのオスカル少年を思わせる、 ちょっとエキセントリックなムードも漂わせている、という。 おそらくですけどもタイカ・ワイティティさんは、『ブリキの太鼓』のオスカル感を、多少は狙って彼をキャスティングしてるんだろう、と思うんですけど。 まあ、それもすごく、これ以上なくハマっているんですけども。 で、まあとにかく彼がですね、ヒトラーユーゲント入団を前に、緊張してるわけです。 それで鏡に向かってこうやっていると、そこへ、さっき言ったように顔が切れた構図から、そのタイカ・ワイティティ本人が演じる、イマジナリーフレンドとしてのヒトラーが現れて。 で、その彼を鼓舞する。 「ハイル、ヒトラー! ハイル、ヒトラー! ハイル、ヒトラー!」って連呼して、彼を鼓舞して。 それで勢いづいたジョジョが、「ハイル、ヒトラー! ハイル、ヒトラー!」って言いながら、表に駆け出していく。 それと同時に、 ドイツ語版のビートルズ『抱きしめたい』が流れ出して、先ほどのメールにもあった通り、まさに本当に当時、そのポップスター的な熱狂を集めてた、若者たちとか女の子が「キャーッ!」って言っているヒトラーの映像をモンタージュしていく、という感じです。 まさにこの映画の、 「ポップにナチス時代を描く」という、 そのなかなかに際どいスタンスが、早々に打ち出されるオープニングなわけですね。 ただしかし、実際、ナチスを無邪気に信奉し熱狂した人々にとってですね、まさにそのナチス、ナチズムというのは、このようにポップな、「善きこと」そのものであったのではないか、というね。 もちろんだから、これはそういうことを踏まえた上での、痛烈なジョークでもあるわけですね。 以降もですね、ちょっと『モンティ・パイソン』の戦争ギャグとか、あとは昔の映画で言うと『まぼろしの市街戦』とか『ジョンレノンの僕の戦争』とか、といったような、まあ毒っ気たっぷりの戦争ジョーク物みたいな ……すごい毒っ気たっぷりの戦争ジョーク、たとえば後半で、レベル・ウィルソンがね、もう子供に手榴弾をこうやって、 「はい、これでアメリカ兵に抱きついてきなさい!」みたいな。 そういう、まあかなりブラックなというか、痛烈なジョークもあったりする、ということですね。 これはつまり、彼がいつの間にか内面化してしまった、たとえばその、ユダヤ人を恐れ、憎むのが正しい、とする考え方。 それを具現化して見せたものなわけですね。 つまり、 人が内面化しでしまったヘイトの、メタファーとしてのヒトラーなわけです。 同時にそれは彼にとっては、不在の父親に代わる、 「男らしさ」のシンボルでもある。 だからもう序盤からその彼、ヒトラーが言うことは、とにかく「お前は男だろう?」とか ……あとは(ヒトラーユーゲントの訓示として語られる)「お前らは今日、大人の男になる!」とかっていう。 それに対して女性の役割っていうのは、それこそ「はい、子供を産むのが役目です」とかね。 なんてことを言って、すごくこう皮肉っぽく、最初に提示されるわけですよね。 ただですね、ナチス思想にとってそのヘイトの対象である「ユダヤ人」にしても、そしてその「男らしさ」にしても、実際のところその 10歳の少年の主人公ジョジョにとっては、 どちらも単なる机上の空論っていうか、妄想の産物でしかないわけですよ。 「ユダヤ人って怖いんでしょう? 臭いんでしょう?」って言うんだけど、知りもしないから。 で、それって実は、ヘイトが生まれる構造そのものですよね。 知らないから怖いし、憎む、っていうね。 で、その彼が、なんとよりによって、「ユダヤ人」で、なおかつ(母親以外の)「若い女性」という、要するに圧倒的な「他者」っていうのと、ひょんなことから実際に向き合うことになることで ……という話。 ここ、 2人が出会うところのくだりが、あえて、ここは完全に Jホラー風の演出をしているところとか、なかなかおかしいんですけども ……とにかくその、「他者」と向き合う経験を重ねることで、特定の人種を恐れ、憎悪することの無根拠さであるとか、あるいは表層的な「男らしさ」っていうものの、何たる無意味さ、無力さ!っていうのを、自然に彼は学んでいく、というね。 まあ『ジョジョ・ラビット』っていう今回の映画は、言ってみればそういう話ですね。 要するに、 他者っていうのに向き合わないから勝手にいろんなことを思い込んでいた人物が、他者と向き合う経験を通じて、それを乗り越えていく、という話。 なので、ここはだから先ほどのメールにもあった通り、そこの是非はちょっと置いておいても、もちろん第二次大戦下のナチスを題材にはしているんだけども、要はその、「ヘイトや偏見を内面化してしまった人が、他者を知ることでそれを乗り越えていく」という、まあ当然、現在の社会、世界に通じる普遍的なメッセージ、っていうものを含む作品で。 この作品のですね、従来の第二次大戦物、ナチ物とは違うこの「ポップな」意匠というのも、そこを際立たせるための作りである、ということは間違いない。 ただ、それに対する是非とか意見の相違というのが出てくるのも、それもまた当然かな、という風に思います。 僕も実はちょっと ……後ほど言いますけど、ちょっと微妙に思うところもある。 で、本作はとは言え、本当にその、さまざまなディテールとか場面とかが、非常に魅力的な作品で。 誰ひとりとして非人間的に描かれていない 何が魅力的かというと、やはりこれはタイカ・ワイティティ監督の一番の真骨頂の部分として、個性的にして人間的なキャラクターたち …… とにかくキャラクターの立て方が本当にうまい、っていうところだと思います。 ナチスの人たちもですね、誰ひとりとして非人間的な怪物として描かれてはいないわけですね。 思い込みが激しかったりとか、あるいは嫌々その組織に従ってたりはするけども ……とかね。 決して怪物的に描いているわけではない。 で、やっぱりその魅力的なキャラクターの最たるものは、アカデミー賞でもノミネーションがありましたけども、スカーレット・ヨハンソン演じるお母さん。 まずあの衣装とか、たたずまいのかっこよさ、っていうのもありますし。 このお母さんのくだりはやっぱり特に、『この世界の片隅に』を僕は強く連想したところでした。 お母さんとのね、最後のあの美しい日々であった、あの自転車で漕ぎだすところで、ロイ・オービソンの『 Mama』という曲のドイツ語版が流れるという、その絶妙な選曲も含めてですね、 こういう悲惨な時代の中にも、美しいその瞬間がある、というようなくだり。 あと、脇で言うと、やっぱり主人公のお友達のヨーキーくんですね。 彼を演じるアーチー・イェーツくん。 本当に 『カールじいさんの空飛ぶ家』のあの子! だと思ってください(笑)。 あの子の具現化というか。 この子、『ホーム・アローン』のリメイク版への主演が決まっているらしいんですけどもね。 彼とのやり取りのキュートなところもら本当に魅力的だし。 まあシーンごとに言ってもですね、たとえば中盤。 ゲシュタポが家宅捜索しに来る。 あそこでまずね、そのもう果てしない 「ハイル、ヒトラー」天丼ギャグ(笑)。 もう何回言うんだよ!っていうその「ハイル、ヒトラー」天丼ギャグも面白いし。 同時にここは当然、ナチス物の定番である「バレるの? バレないの?」サスペンスとしても、非常に盛り上がりますよね。 しかも、それだけではなくて、その「バレるの? バレないの?」サスペンスの緊張感が、頂点に達したところで、ジョジョのその、ユダヤ人の女の子に対する恋心が、そこであからさまになってしまう、っていう。 ギャグもあればサスペンスもあれば、そしてその彼の内面っていうのかな、それが露わになってしまう、まあちょっと青春物語、ちょっとしたラブストーリーとしての緊張感が高まる場面として、何重にも面白みが重なっている。 ここ、本当に名場面だという風に思いますね。 「ああ、いい映画を見た!」っていう切れ味になっているわけですね。 まあそのいくつかの分断をね、主人公のジョジョくんと、エルサというそのユダヤ人の女の子が、いくつかの分断を乗り越え ……「ユダヤ人とドイツ人」っていう分断。 「ナチスとユダヤ人」という分断。 「男と女」という分断。 「歳の差」という分断。 それらをいくつか乗り越えて、もしくは乗り越えようとしているこの 2人、まずは何をやるべきか?という時に、ここで流れ出す曲の、選曲込みで ……だから要はね、 うますぎる!っていうことだと思います。 なので、この映画単体としての完成度とか、たぶん否定的なメールでも、そこを否定している人はいなかったです。 映画としての質の高さ、完成度の高さ。 これは間違いないと思います。 ただ、やっぱりどうしてもそのナチス物、ホロコーストを扱っていて、 ここまでこんなに「割り切れる」感じでいいのかな?って思ったりとか、あと、あの事態の後に、子供たちがあそこで何のお咎めもなくいるって、あるのかな? とか。 だって一旦、家宅捜索までされてるのに ……とか。 いろいろちょっと引っかかるなって思うところが、僕はなくはなかったです。 でも非常に魅力的なディテール、演技であったりとか美術であったりとか、そしてもちろんメッセージも、非常に重要なことを言ってると思います。 質の高い作品であるのは間違いないと思います。 ぜひぜひ今、アカデミー賞の脚色賞を ……でも、この脚色賞こそがタイカ・ワイティティさんの才能、ということで。 彼の才能を改めて日本人が知る意味でもですね、今、劇場でウォッチしてください。 (ガチャ回しパート中略 ~ 来週の課題映画はです) 以上、「誰が映画を見張るのか?」 週刊映画時評ムービーウォッチメンのコーナーでした。 5MHz/AM954kHz、PCやスマートフォンはで。 聴き逃しはで一週間前まで、それより過去はで。 スマホの方はを使うとより快適にお聞き頂けます。

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