パラサイト 映画 感想。 パラサイト韓国映画ネタバレ結末ラストまで!閲覧注意で感想も紹介|アカデミー賞

パラサイト韓国映画ネタバレ結末ラストまで!閲覧注意で感想も紹介|アカデミー賞

パラサイト 映画 感想

(トップ画像引用:) 昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『パラサイト』。 2020年1月10日の劇場公開をずっと楽しみにしていました。 公開直後、アジア圏の作品としては異例のアカデミー賞6部門ノミネートが発表され、注目度はどんどん高まっています。 そんな『パラサイト』は、韓国社会の経済格差を、巧みな設定とストーリー展開で描き出した作品です。 どうしてここまで世界的に評価されているのか、同じく「貧困」をテーマにした映画『JOKER』や『万引き家族』にも触れながら、私なりの考えをまとめます。 2018年にパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の『万引き家族』も貧困層を描いた作品でした。 『万引き家族』はどちらかといえば、パーソナルな家族の物語です。 主人公家族以外の「富裕層」も「他の貧困層」も登場しない。 広い視点で見た「社会との関わり・関係性」はそこまでハッキリと描かれませんでした。 その点『パラサイト』は「貧困」をソーシャルな問題として広い視点で捉えています。 物語の中で何度も登場する「上下」を強調した構図が象徴していますよね。 階段の上と下、机の上と下、地上と地下……など、上にいる人間と下にいる人間の「格差」を、視覚的に印象づける演出はとても巧みだと思いました。 もう1つの「貧困家族」の存在 それから『パラサイト』は、貧富の格差だけでなく、貧困層同士の関係性もしっかり描いています。 「パク家族に寄生していたのは主人公家族だけではなかった」と後半で明らかになり、2つの家族が生活を維持するために争い合う。 1つの豊かな家族の下に一体いくつの貧しい家族が存在し、余裕なくパイを奪い合っているのか。 嫌でも想像させられる展開です。 金持ち家族はどんな人間として描かれているか? (引用:) 主人公家族に「寄生」される富裕層一家は、悪意のない善良な人たちに見えます。 一家の父であるパク社長は、不正をして金を稼いだり、浮気など不貞を働いたりしているわけではありません。 貧しい人たちを見下すような差別主義者でもありません。 (ただし、他人の立場に立って考える想像力はない) 主人公家族の父・ギテクに対する「臭い」発言は……うっかり本人に伝わってしまったのが悲劇としか言いようがないですね。 自分よりずっと恵まれた人間の無神経な言葉が、格差に対するギテクの怒りを爆発させるきっかけになってしまった。 悪意がなかったからこそ、より悲劇です。 ああいう愚痴ってポロッと言ってしまう人は多いと思うんですが、「臭い」って人の尊厳を傷つける言葉ですよね……。 使いどころを間違えないようにしたいですね。 パク社長の妻や子供たちも、悪い人ではありません。 主人公家族とパク社長一家の間に存在する「格差」の責任をとるべき人なんて、一人もいません。 主人公家族が登場するよりずっと前から、豪邸の地下で暮らしてきた家族も、パク家族のことを恨んでいません。 裕福な彼らをうらやむことはあっても、恨む理由なんてどこにもないのです。 格差の問題は個人の責任ではない パク家族のような、社会構造上「強者」に位置する人間に責任を負わせないところが、この映画と『JOKER』の違いだと思います。 『JOKER』主人公のアーサーがふるった暴力のきっかけとなったのは、電車の中のサラリーマンや、ウェイン、テレビ司会者などの「強者」たちが先にアーサーを加害したからです。 先に手を出したのはあくまで「強者」側であり、アーサーの行為は復讐という扱いになります。 そもそも暴力が生まれたのは「強者」のせい。 そう受け取ることも可能な物語になっています。 一方『パラサイト』のラストでは、ギテクの行き場のない怒りが結果的に目の前の人間を攻撃してしまいます。 「強者」であるパク社長個人はギテクに対して、直接加害したわけでも、貧困にさせたわけでもありません。 ナイフを振るったあの瞬間、ギテクの中に生まれた憎しみは、彼と自分の間に存在する格差へ向けたものでした。 パク社長個人に恨みがあったわけではないので、ギテクは後から後悔し、パク社長に謝罪していますよね アーサーは自分たちを虐げる「強者」を憎んで、自ら粛清した。 ギテクは自分たちを貧困に落としたのが「社会」だと気付いている。 ここには大きな差があると私は思います。 父ギテクとはどんな人物だったか? (引用:) 冒頭、一家全員でピザのボックス作りの内職をするシーンがあります。 父のギテクは「箱を早く作る裏ワザ」動画を見ながら、楽しそうに作業を行っていました。 ギテクの不器用そうな手つきが脳裏によぎります。 もしかしたら、彼が作った箱だけが不良品だったのでは? また、完璧になりすましをこなす他の家族たちと比べて、ギテクだけはボロを出してしまうシーンが多かったように思いました。 パク社長のプライベートを詮索するような発言をしたり、危うい運転をしたり、「臭い」と言われてしまう。 たぶん、家族の中で彼だけあまり要領が良くないんでしょうね。 それに性格も素直で幼いところがあり、あまり声を荒げない、父権的な父親像とは正反対の人物です。 気にしないふりして毎日過ごしているけれど、本当は「父親らしく」家族を満足に養えていない現状が苦しかったかもしれない。 父であり男性であるからこそ、かかるプレッシャーが他の家族よりも大きく、その分苦しい気持ちも溜まっていた。 だからこそギテクだけ爆発してしまったのではないでしょうか。 ギテクは、理想的な「男らしさ」を体現できず、コンプレックスを抱えた弱者男性として描かれているように思います。 (『JOKER』のアーサーや、『万引き家族』リリー・フランキーと同じ)きっと、地下室にずっと隠れていたあの男性も、同じ想いを抱えているのでしょう。 2人が共鳴しているのは、「台湾カステラ」の件でも明らかです。 一度生まれた格差から抜け出すことは不可能 (引用:) 悲劇の後、暗い地下室に閉じ込められてしまった父・ギテクを迎えに行く想像をし、大金を稼ぐために動き出す息子のギウ。 でも、大学に行くことすらできなかった貧しいギウが、一体どうやったらあの大豪邸を購入できるのでしょうか。 想像するだけで気が遠くなってしまいます。 実際、ポン・ジュノ監督もインタビューで「ギウがあの豪邸を買うまでに500年かかる」と言ってるそうです。 参考: つまり実質的に、彼が父親を助け出すことは、不可能。 どんなに頑張ろうが、貧しい環境から抜け出す道がないという絶望で物語は終わります。 まとめ (引用:) 格差や差別を失くすために「強者」を責めたり攻撃すると、反発が生まれます。 少し前に映画監督のテリー・ギリアムがインタビューで、「白人男性ばかり悪者にされるなら、黒人のレズビアンになろうかな」みたいなことを言いましたよね。 発言自体は最悪の差別的な内容ですが、「強者」個人に責任を求める物語が増えると、ギリアムのように思う人も増えるのではないでしょうか。 自分が知らないうちに「悪者」にされてしまっているかのような……。 好きで白人・男性・富裕層に生まれたわけではないのに……。 そういった人たちの反発心が強まり、社会問題解決への歩みが遅くなってしまうのは、避けたい事態だと思います。 格差や差別の責任は、上にいる「強者」たちが負うものではなく、「強者」も「弱者」も包括した社会全体が追求していかなければいけません。 「強者」に対して怒りをぶつけても、問題解決にはならない。 それどころか、残りの人生を暗い地下で過ごす羽目になったギテクのように、社会の理不尽なシステムに負けてしまう可能性もあります。 根本的な解決を目指すのであれば、システムからがらりと変えなければ。 でも悲しいことに「社会」は簡単には変わりません。 『パラサイト』は、ちっぽけな人間の前に立ちはだかった、あまりにも膨大な「社会」に対する絶望感を描いた映画だと思いました。 鑑賞後はその途方もなさに呆然としてしまいますが、ポン・ジュノ監督は「真実」を真摯に見つめているんでしょうね……。

次の

韓国映画『パラサイト』感想とレビュー評価。日常と2つの家族によって描かれた資本主義の構造

パラサイト 映画 感想

映画『パラサイト 半地下の家族』を見たので感想とレビューを書く。 パルム・ドール作品ってことで期待値高めで鑑賞してきました。 「評判いい」「面白いらしい」程度の情報だけで観るのが1番いいと思う。 私も公式HPのあらすじくらいしか情報収集してなくて本当によかったと思ってます😌 誤ってネタバレ読んでたらここまでの衝撃は味わえなかった!! ってことで、まだ映画本編を見てない人は感想・レビュー以降の項目は読まないように注意してね! 感想・レビューだけ読みたい人は目次から飛んでください! スポンサードサーチ 目次• 映画『パラサイト 半地下の家族』基本情報。 韓国のブラック・コメディ映画。 監督は『殺人の追憶』『母なる証明』などのポン・ジュノ。 主演はソン・ガンホが務める。 韓国では2019年5月30日に公開、日本では2020年1月10日に公開された。 第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞している。 全世界騒然、天才監督ポン・ジュノの最強映画『パラサイト 半地下の家族』 — Numero TOKYO NumeroTOKYO スッタフ・キャスト 監督 — ポン・ジュノ 脚本 — ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン 製作 — クァク・シンエ、ムン・ヤングォン、チャン・ヨンファン キテク — ソン・ガンホ パク — イ・ソンギュン ヨンキョ — チョ・ヨジョン ギウ — チェ・ウシク ギジョン — パク・ソダム チョンソク — チャン・ヘジン ムンクァンジュ — イ・ジョンウン ダヘ — チョン・ジソ ダソン — チョン・ヒョンジュン パク・ソジュン スポンサードサーチ 「パラサイト 半地下の家族」あらすじ 過去に度々事業に失敗、計画性も仕事もないが楽天的な父キム・ギテク。 そんな甲斐性なしの夫に強くあたる母チュンスク。 大学受験に落ち続け、若さも能力も持て余している息子ギウ。 窓を開ければ、路上で散布される消毒剤が入ってくる。 電波が悪い。 Wi-Fiも弱い。 水圧が低いからトイレが家の一番高い位置に鎮座している。 「僕の代わりに家庭教師をしないか? 」受験経験は豊富だが学歴のないギウは、ある時、エリート大学生の友人から留学中の代打を頼まれる。 パク一家の心を掴んだギウは、続いて妹のギジョンを家庭教師として紹介する。 この相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく——。 parasite-mv. 全てが完璧だった。 ここまで手放しで絶賛映画に出会えたのは久々。 かなりおもしろかった! 手放しでおもしろかったと思える映画に出会えたのは久々。 衝撃以外の言葉が見つからない。 これは前情報ナシで観てほしい。 個人的にどこら辺が素晴らしかったのか詳しく解説していきます。 以下、映画鑑賞後の感想・レビューになります。 まだ映画を観てない人はご注意ください。 尚、この映画は監督が「ネタバレ禁止令」を出しているので直接的なネタバラシはしてません。 ストーリーの構成が素晴らしい 宅配ピザの箱を組み立てる内職で生計を立てているキム一家。 ある日、長男の・ギウは、エリート大学生の友人から留学に行っている間に家庭教師のバイトを変わって欲しいと頼まれる。 IT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸を訪れたギウは、パク一家の心を掴むことに成功。 続いて妹のギジョンを家庭教師として送り込む・・・。 parasite-mv. jp) 公式HPにあったように序盤のストーリーは、キム家がパク家に身分を偽り入り込むという詐欺行為のオンパレードでクライムサスペンスのようでした。 ブラックユーモアもたっぷり含んで笑いも生まれた前半。 打って変わって中盤からはスリルと恐怖満載のスリラー展開に突入。 そしてラストはちょっと切ない。 これだけの展開を見せられて、格差社会など社会風刺も混在させる構成力・・・・本当に感服。 格差社会を描いた社会風刺映画 韓国の格差について詳しく理解していないワタシは、キム一家がスラム街みたいな街の半地下の家に住んでいることに驚き、「警備員1人の採用枠に500人もの大卒者が集る時代」というセリフに驚いた。 一方でパク一家は、吹き抜けのある大きな家に住み何不自由なく暮らしている。 韓国ってこんなに貧富の差が激しいんだ・・・と初めて知った隣国の国民事情にも驚きました。 しかしよく考えてみれば、2018年に同じくカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを獲得した『万引き家族』に出てきた家族を日本でよく見る家族かと聞かれればそうでもない。 しかしあんな暮らしの人たちがゼロかと聞かれればゼロでもなく、社会問題として考えなくてはいけないのも事実である。 それと同じくキム一家みたいな暮らしをしている韓国人がどれだけいらっしゃるのかは分かりません。 (勉強します) 何が言いたいかというとワタシは韓国の格差社会について全く理解していませんってことです。 話は戻って、ワタシがこの映画を格差社会を描いた社会風刺映画だと思ったのは、 富裕層と貧困層は決して分かり合えない存在なのだと悟ったから。 作中でキム一家はパク一家のことを「お金を持ってる人は心が豊かだ」的なことを言い、キム家の母・チョンソク(チャン・ヘジン)も自分も金があればもっと優しい心を持っていた的なことを言っていました。 それから紆余曲折があり、キム一家がパク家のリビングの机の下に隠れている間、パク夫婦は彼らがこの場にいることを知らず、キテク(ソン・ガンホ)の噂話をします。 決して悪口ばかりではなく彼を認めつつも匂いが耐えられないと言うパク社長(イ・ソンギュン)。 どうやら地下鉄の満員電車の匂いがするとかなんとか。 このシーンは、キム一家がパク家に忍び込んだことがバレるんじゃないかというハラハラ感と、子どもたちの前でバカにされプライドをズタズタにされたキムさんの悲しみが入りじまったなんとも言えない複雑な気持ちになった。 彼の仕事ぶりを認めつつも匂いが気になるという事実を口にしただけなんです。 しかも直接言ったわけでもないしまさか聞かれているとも思っていません。 ただやっぱり富裕層の人は鈍感だなとも思います。 パク夫人(チョ・ヨジョン)は素直でいい人だけど見方によれば自己チューで鈍感。 キム家サイドが念入りな計画で出し抜いてる間は扱いやすい人物でしたが、息子の誕生日パーティーの準備中の彼女の無神経さを見て、キムさんには同情した。 そして極め付けは例の騒動が起きた時の彼らの行動。 この人たちは瀕死の貧困層に興味がないんだなと唖然とした。 ということがあり、貧困層(キム一家)と富裕層(パク一家)は決して分かりあえる存在ではなかったんだと悟りました。 どっちが善人でどっちが悪人とかいう問題ではなくて分かりあえない存在なんだと。 やはりあまりに階級が違う人同士は関わらない方がいいですね。 ロクなことが起きない。 嫉妬や妬みがないと人は成長しないと思うのですが、簡単に越すことの出来ないヒエラルキーでのそれはただただ残酷。 どうしても核心に触れてしまうので気になる人はクリックからどうぞ。 殴られ血を流しているギウをダヘがおぶって逃げるシーンがありました。 あれってさ・・・ ダヘに地下室の存在バレてるんじゃない!? 確か扉は開いたままだったよね? 倒れてるギウに気を取られて目に入らなかったのかな? ついでにもう1つ。 ダソンは家庭教師や運転手に扮するキム一家を「みんな同じ匂いだ」と言ったり、電球の信号を解読したりしていたけど、最後まで彼が何かやらかすことはなかったね🤔 ダソンはただ観客をハラハラさせるためだけのミスリード要因だったのだろうか🙄 こんな感じで意味深だけど無意味な伏線が多かったイメージ。 あと、電球で信号を送るあれさ・・・あんな長い文章を送るのに何時間かかったんだろw ってな感じで気になる点も少しありましたが、全体的には大大大大満足でした! スポンサードサーチ 「パラサイト 半地下の家族」満足度とまとめ 満足度 100点満点中90点 これは高得点をつけるしかないです。 映画の完成度としては完璧だし、その上ワタシの好み。 久々に 大大大大満足な映画に出会えました。 実はワタシ。 韓国映画をまともに見たことがなかったのですが、この映画のおかげで新たな領域を広げられました。 私は富裕層と無縁な庶民なのでここまで絶賛できましたが、富裕層の人の感想も聞いてみたいかも🙄 叶姉妹や前澤社長がこの映画を見たらどう思うのか・・・・気になりますw.

次の

【パラサイト半地下の家族】ネタバレ最後の結末は臭いで衝撃的展開

パラサイト 映画 感想

CONTENTS• 裕福な家庭に貧しい家族が仕事人として入り込んだことで思わぬ悲喜劇が起こる様を、コメディ・ホラー・社会派とジャンルを横断して描く。 2019年には第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞し、2020年の第92回アカデミー賞では作品賞・監督賞を始め6部門にノミネートされた。 若い頃は砲丸投げの選手だったが、実生活にはなんの役にも立たないことを痛感している母チュンスク。 兵役の前後に4回も大学受験に失敗し、職にもつけない息子ギウ。 父に言われてスマホをかざしながら電波を探していると、やっとトイレ付近で電波をキャッチすることができました。 水圧が低いのでトイレが家の一番高い位置に鎮座しているのです。 ギウが窓から外を眺めていると、家の壁に通行人が立ち小便を始めました。 ピザ屋の箱を組み立てるアルバイトを家族全員で行っていると、道路に消毒剤が散布されているのが見えました。 消毒剤は開けっ放しの窓から家の中に入ってきて、部屋の中は真っ白。 家族は咳き込みます。 そんな中でも父は淡々と箱を組み立て続けます。 ピザ屋には手抜きだと叱られ取り分を減らされますが、ようやく食事にありつけた一家のもとに、ギウの友人のエリート大学生が訪ねてきました。 コンビニの脇でギウと友人は酒を酌み交わしました。 友人はギウに頼みがあると切り出しました。 留学することになったので、今教えている高校2年生の女子生徒の家庭教師を代わりにやってほしいと言うのです。 彼はその女子生徒に惚れていて、彼女が大学生になったら正式に付き合うつもりなのだそうです。 「なぜ他の大学生に頼まず無職の俺に頼むのか」とギウが尋ねると、「お前なら信用できるからだ」と彼は言うのです。 「それに、お前は四回も受験しているんだからそこいらの遊び呆けている大学生より教えられるだろう」「俺が推薦するから大丈夫だ」と言われたギウはその気になります。 ギウは技術のあるギジョンに書類を捏造させ、家庭教師先へ面接に向かいました。 教えられた住所に到着すると、そこはIT企業の社長パク・ドンイク一家が暮らす高台の大豪邸でした。 パク一家の心を掴んだギウは、妹のギジョンを「イリノイ大学に留学経験のある美術教師のジェシカ先生だ」と紹介。 ギジョンはまんまと一家の幼い長男の家庭教師におさまります。 更に、ギジョンはパク社長のお抱え運転手に駅まで送ってもらう際、あることを思いつき実行します。 2つの家族の間で何かが起ころうとしていました……。 こうした展開は深田晃司監督の『歓待』(2010)や『淵に立つ』(2016)といった作品を想起させます。 『パラサイト 半地下の家族』もまた、そういう危うさを予感させ、観るものに緊張感を強いますが、このキム一家はいたってのんびりしていて、お得な仕事にありつけたことに単純に喜んでいます。 パク一家がキャンプで家を空けた際、家族で豪邸に集まり酒を飲んで羽目をはずすというささやかな事柄で満足している気のいい人たちなのです。 金持ちに取って代わろうとか、金持ちの人間をものにしてやろうなどという狡猾な野心など微塵もありません。 チェ・ウシク扮する息子がパク家の長女に恋をするのは初恋にも似た甘酸っぱいものにすぎません。 ところが誰もが想像だにしていなかった展開により、彼らのお楽しみは台無しになり、それどころが絶対絶命の危機に陥りさえします。 彼らの立場は二転三転します。 ですが、映画における本当の転換地点はもう少しあとになります。 地下の階段を上がってきた女性をチャン・ヘジン扮するキム一家の母親が蹴り飛ばすシーンまで待たなくてはなりません。 このシーンで映画館は毎回爆笑に包まれるのですが、次の瞬間誰もが凍りつくことになるのです。 このわずか数秒が映画の佇まいを一変させます。 もはやシチュエーション・コメディではなく、バイオレンスの匂いが漂い始めます。 一瞬で映画の姿を変えてしまうワンショットの鮮やかさに唸らずにはいられません。 ひとつは「臭い」。 もう一つは「計画」です。 貧困や格差を描くのに「臭い」を取り上げた映画はこれまでもありました。 例えば是枝裕和監督の『誰も知らない』(2004)は、家に来なくなった友だちを誘うために柳楽優弥扮する少年が学校の正門で待っているシーンがあります。 誘われた少年たちは理由をつけて断ったあとに「あいつの家、臭いんだよ」「生ゴミの臭い」とささやいています。 『パラサイト 半地下の家族』の臭いはさらに深刻です。 それはもはや洗って落とせるものではないのです。 また「計画」に関しては、キム一家はたびたびその言葉を口にしています。 「計画はあるのか」がソン・ガンホ扮する父の口癖で、息子はそれに呼応するように「計画を立てる」としばしば口にしています。 彼らにとって「計画を立てる」ということは必然のことでした。 しかし、父は、物語の中盤に変化を見せます。 「計画がある」と語ることで子どもたちをいったん納得させますが、しばらくして「どんな計画なのか」と息子に問われた際、彼は「無計画なほうがいい。 計画を立てても人生そうはいかない。 最初から計画がなければ関係ない」と呟きます。 絶望というよりは、むしろ思考停止といったほうがよいかもしれません。 辛い思いをした人ほど考えることをやめてしまいがちであり、とりわけ「修復不可能な事態」に陥ってしまえばなおさらなのでしょう。 そうした父親の心理がこの2つのキーワードに敏感に反応し、静かなさざなみとなって終盤へとつながっていく描写は圧巻です。 一方、パク一家はというと、雨で恒例のキャンプがダメになると、思いつきで誕生パーティーを急遽催すことにします。 「計画」という言葉とはまったく無縁であり、不意の連絡を受けた人々は、おそらく立てていたであろう「計画」を反故して、パーティーに駆けつけるのです。 彼らの本音を聞けば、裕福な友人同士のホームパーティーを題材にした『完璧な他人』(2018/イ・ジェギュ監督)のような修羅場が展開するのではと想像されますが、この世界の付き合いもなかなか大変なものがあります。 「計画」よりも「臨機応変」であることが彼らの世界では求められるのでしょう。 キム家の息子がその光景に見入られたように佇むシーンは実に示唆的です。 とりわけチョ・ヨジョン扮する妻のヨンギュは、人を疑うことを知らない純粋さを持ち、茶目っ気もある人当たりの良い善人として描かれています。 夫のドンイクに扮するのは、ホン・サンス映画の出演が多いイ・ソンギュンで、彼の素敵な声の響きもあいまって、まさに2人は理想のカップルで、理想の家族を構成しています。 映画を観ていて、彼らに心惹かれる人も少なくないでしょう。 ところが、ひとたび、自身のふところに誰かが身分をわきまえず入り込もうとすれば、この夫は、態度を豹変させます。 彼らにとって大切なのは自分と自分の立場だけ。 他人のことはどうでもよく、損得抜きの奉仕の精神など一切持ち合わせていないのです。 現代の富裕層たるものの実態を実によく観察しているといえるでしょう。 さて、一方のキム一家は、固い家族の絆で結ばれているように見えます。 それゆえにラストに息子が立てる計画に、格差社会の現実を思い、得も言われぬ悲哀を感じさせられるわけですが、果たしてあのラストはその解釈で正しいのでしょうか? 今の時代、その「計画」が「実現不可能で無謀なもの」であることを知らぬほど息子は無知ではないはず。 つまり家族愛とは真逆に、父を助ける気も、再び会う気もないという決別の現れだったのではないか!? 家族を守らず手も貸さず、罪だけを犯した父を彼は許せなかったのか、あるいは、そのままにしておくほうが幸せだろうと感じたのか、それとも自分自身に激しい怒りを感じていたのか、いずれにしてももう二度と会うことはないという決意表明が見てとれないでしょうか? 悲しみや怒りの中にあっても笑っている息子の表情からは何も読み取ることはできません。 ですが、本作は、ひとつの家族の絆の崩壊を描いているのです。 観れば観るほど、その重層な作りに感嘆させられる作品なのです。 セットであることが発表された高台の豪邸の空間の面白さなど、まだまだ語るべきことがたっぷり残されています。 次回のコリアンムービーおすすめ指南は… 絶好調の韓国映画。 2020年度も続々と話題作の公開が予定されています。 次回もお楽しみに。

次の