デリス カーラーン。 セリフ集

【テイルズオブシンフォニア】用語

デリス カーラーン

デリス・カーラーンの赫怒 デリス・カーラーンの赫怒 「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇっ!!!」 口元から散るよだれを拭おうともせず、シャーリィ・フェンネスはただ、自身の真紅の殺意に命じるまま、人差し指でトリガーを叩いた。 曙光抜けやらぬ空の下、鉛色の死が、マーテルとマリアンに容赦なく降り注いだ。 ウージーサブマシンガンから放たれる弾丸は、たとえ戦士でさえ捉えることは困難なほど高速で飛来する。 ましてや、それを受けようとしているのは、戦う力を持たないマリアンと、そして戦士としての訓練を受けていないマーテル。 すなわちウージーの掃射は、彼女らに下る死刑宣告。 これを浴びれば全身の肉は引き裂かれ、骨も砕け散る。 ただそこに残るのは、惨めな死だけだ。 しかしながら、彼女らには騎士が傍らに控えていた。 強大な力を備えた、2人の騎士が。 「ッ粋護陣っ!!!」 ミトスは即座に身をかがめながら、得物を地面に突き刺し、闘気を瞬時に練り上げる。 緑色の闘気の障壁が球と化してミトスを包み、ウージーの射線を断つ。 ミトスもまた、かつてクラトスにこの技を教わった者の1人なのだ。 くしくも、クラトス直伝の秘技は、ロイドとミトス…二人の手により繰り出され、二度もシャーリィのもたらす死を阻んだのだ。 ぎいん、ぎいん、と連続で鳴り響く銃弾の潰れる音。 周囲に無数の鉛弾が跳弾を起こす。 鉛弾の威力を殺し切ることは出来なかったが、ダオスもマーテルもマリアンも、みなミトスの後方に控えていたため、流れ弾を食う心配はなかった。 シャーリィが標的の殺害に失敗したと気付いた頃には、シャーリィの視界は青一色に染まっていた。 「受けるがいい! タイダルウェーブ!!」 ダオスが後方で詠唱していた呪文に、自らの身を絡め取られたシャーリィは、たちまち地に着いた足を払われ、もんどりうって転倒した。 激流が、彼女の身に襲い掛かっていた。 「…お見事、ダオス!」 ミトスは珍しく、子供らしい物言いでダオスの協力に快哉を上げる。 「…あの妙な武器…確か『銃』と言ったか…の弾ごと、タイダルウェーブでなぎ払ってやろうと考えたが、お前のお陰で弾を払う手間が省けたな」 ダオスはかつて読んだ、デリス・カーラーンの古文書にあった記述から、シャーリィの武器の知識を引き出していた。 ダオスは多少の打撃なら、詠唱のための集中を乱さずに耐えられる自信がある。 タイダルウェーブを発動させるまでの間は、自らを「銃」の盾にしようと考案していたが、ミトスのお陰でその危険も省かれたようだ。 「それにしてもあの子…」 粋護陣を解いたミトスの眉間には、子供らしからぬしわが浮いている。 そのしわはかすかな困惑と、そして明白な怒りに彩られていた。 「…昨日はマーテルとともにいたと思ったら、今度はこの返礼か!」 それはまた、ダオスと同じこと。 ダオスの周囲で再び濃密なマナが渦を巻き、彼の外套と金髪を舞わせる。 「この落とし前は、きっちりつけてもらわないとね…姉さま?」 「…分かっているわ。 剣が必要なのでしょう?」 マーテルは祈るように二言三言呟きながら瞳を閉じ、そしておのが皮袋に手を差し入れた。 引き出したのは、ねじくれた刀身と禍々しい光を帯びた剣…邪剣ファフニール。 「…使うのね、二刀流を」 「うん…」 ミトスは、強い決意を胸に秘めて、か細いながらもはっきりと、その意志を示した。 かつてミトスがシルヴァラントとテセアラの英雄と祭り上げられていた時代、彼が得意としていたのは二刀流。 両の手に握り締めた剣と共に、彼は戦乱の大地を駆け抜けてきたのだ。 彼が二刀を欲している、ということは、つまり今がそれほどの事態である、ということに他ならない。 マーテルとてむやみに人の傷を増すような行為に手を貸すのは不本意だが、ミトスの真剣な目は、そのマーテルをして剣を渡さしめるほどに輝いていた。 邪剣ファフニールを握り締め、もとあったロングソードと共に構えるミトス。 瞳をつぶって振り向き、マーテルに背を向ける。 「姉さま…行って来る」 ミトスの背に、制止の声をかけることなど、もはやマーテルには出来なかった。 「ダオス…僕は『先に』行く。 後からついてくるんだ」 その言葉を最後に、ミトスは忽然とその姿を消した。 全身ずぶ濡れになり、吹き飛ばされ、地面に寝かせられる形となったシャーリィは、不気味に独り言を呟き続けていた。 殺したと思った。 殺していたと思っていた。 期待してたのに。 あの女の顔面が、焼くのを失敗してしまったイチゴのパイみたいに、ぐちゃぐちゃのバラバラになっていたはずなのに。 むかつく。 むかつく。 むかつくむかつくむかつく…殺す! シャーリィは、自身の狂気と憤怒の命じるままに、再びマシンガンを掲げた。 うざったい邪魔者もろとも、ぶち殺す。 豚より惨めな死を、あいつらにプレゼントしてやる。 みんな死ね。 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇっ!!! ウージーのトリガーにかかった人差し指に、力を込めようとした、その瞬間だった。 「その辺にしておくんだね」 !? 背後を取られ…!! その次の瞬間には、シャーリィの両の手首は、紙一重ほどのぶれもない、二筋の剣閃に切り裂かれていた。 「いやあぁぁっ!!?」 シャーリィはたまらずに、そのまま膝を屈し、地面にくず折れる。 鮮血があふれ、彼女の衣服を汚していく。 「切り落とせるほど深くは入っていないけれど、手首の血管をやられたみたいだね」 ミトスは、今や膝を屈したシャーリィを背に、悠然とたたずんでいた。 ミトスがたった今行った術は、瞬間移動。 彼を除けば、マナの楔たる精霊など、ごく一部の者のみが扱える行為の術の1つだ。 最も、この術を使ったところで、あまり長い距離を移動することは出来ない。 せいぜい、歩いて数十歩程度の範囲が、ミトスの跳べる距離だ。 それでも、この一撃はシャーリィにとってはかなりの不意打ちになったはず。 深くは切れていないが、もはやこれで銃を握ることは… 「!!」 だがそれは、シャーリィの抵抗の終わりを示す、チェックメイトにはなりえなかった。 手首を切り裂いた思っていたシャーリィの衣服が舞い、ミトスに強烈な後ろ蹴りを見舞っていた。 シャーリィのかかとは、紛れもなくミトスの股間に突き刺さっていた。 「ぬああぁぁっ!!」 あろうことか、シャーリィが繰り出したのは金的蹴り。 男性の暴漢に襲われた際、効果的とされている護身術の1つだ。 今は亡きセネル・クーリッジが、妹であるシャーリィに教えた簡単な護身術。 暴漢に取り押さえられた時の脱出の技を、シャーリィはかけていたのだ。 彼の兄は、このゲームで最初に脱落したとはいえ、こうして今でもシャーリィの身を守っている。 シャーリィは兄に…兄の教えに感謝しながら、今の標的を改めて見定めていた。 「くそぉっ!!」 金的を強打された激痛で、たまらず意識が混濁するミトス。 今度膝を屈していたのはミトスの方であった。 「さっさと死ねよ…うぜーんだよ、ばーか」 続けざまにミトスの繰り出されたのは、痛烈なトーキック。 股間の激痛に身もだえするミトスに、この一撃をかわすことは出来ない! (万事休すか!?) だがミトスがそう思った次の瞬間、シャーリィの体はミトスから向かって、垂直に吹き飛ばされていた。 「ごげばぁっ!!?」 血と共に悲鳴を吐き出すシャーリィ。 赤い尾を引きながら宙を舞い、後方の木の幹に背を思い切り叩きつけられた。 「…私を忘れるな、ミトス」 刹那、ミトスの目の前で舞ったのは、金色の外套だった。 シャーリィがどいたがために開けた視界の前に立つは、金髪の偉人ダオス。 回し蹴りをシャーリィのどてっ腹に叩き込み、シャーリィを吹き飛ばしていたのだ。 「ダオス…済まない」 「これで私もお前を助けたから、貸し借りはなしだな」 ダオスはそう言いながら外套を翻し、意識のあるなしも定かではないシャーリィの方へ向き直った。 「さて、貴様がマーテルに牙を剥いた罪、どのようにして裁いてくれようか」 大股でシャーリィに歩み寄ったダオスは、シャーリィの頭をつかみ上げて、無理やり地面から立ち上がらせる。 「私に何をす…!!」 次の瞬間、シャーリィの体は、ダオスの渾身の一振りで宙を舞っていた。 そしてまた次の瞬間には、シャーリィの腹部から太い木の枝が、肉を突き破って生えていた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 ダオスはシャーリィの体を放り投げ、手近な木の枝に、シャーリィ突き刺していたのだ。 一言で言えば、今やシャーリィはモズのはやにえ。 木の枝に腹部を貫かれ、無理やりにぶら下げられているのだ。 恐怖と激痛のあまり、涙と血をとめどなく流すシャーリィ。 失禁して垂れ流れてきた尿が、シャーリィの下半身を新たに濡らしていく。 「…貴様だけは例え謝っても、決して許さん。 そこならば、何があろうと逃れることは出来まい。 救いのない確実な死を、貴様に見舞ってくれる」 刹那、ダオスは胸の前に両の手のひらを掲げ、そこに魔力を集中させる。 白く輝く球体が、鼓動を打ち始める。 「…ダオス、ボクも手伝うよ」 そこにいつの間にか並んでいたのは、ミトス。 ミトスもまた、胸の前に白い球体を掲げ、木の枝に刺さったシャーリィを眺めている。 「ミトス…」 「多分あんたも、ボクと似た技を使えるはずだろう? あんたがボクらの所から離れていたときのマナの乱れ方…ボクの技にそっくりだったからね」 「…ふん、知っているなら、まあいいだろう」 ミトスの胸の前の球体は、すでにまばゆい輝きを放っていた。 ダオスはもうそれ以上何も言わずに、ミトスに倣った。 デリス・カーラーンの過去と…そして未来の王。 くしくも運命がめぐり合わせたこの二人には、似通った力が与えられていた。 純粋な魔力を両の手のひらに込め、それを光の柱に変えて撃ち出し、全てを焼き払う、その力が。 もはやまともに目を開けていることすら困難な、光の洪水がその場には起きていた。 「お前をこの世から…塵一つ残さず消滅させてやる!」 「貴様の魂ごと、この一撃で打ち砕いてくれるわ!」 次の瞬間、魔力の鼓動は、臨界点を突破していた。 デリス・カーラーンの赫怒が、ここに炸裂した。 「受けろ! ユグドラシルレーザー!!」 「これで終わりだ! ダオスレーザー!!」 ミトスとダオス。 二人の両手から放たれた極太の光線は、射線上の木々を、草を、葉を、全てを呑み込みながら、泣き叫ぶシャーリィへ迫る。 「「滅び去るがいい!! ダブルカーラーン・レーザァァァァァァッ!!!」」 放たれた二本のレーザーは、ちょうどシャーリィがぶら下がった辺りで交差し、周囲を白一色に染め上げた。 この島の北東部の空は、朝焼けの赤ではなく、白い光に染まる。 デリス・カーラーンの裁きが、この地に下ったのだ。 膨れ上がる爆光は、呑み込んだもの全てを塵に返しながら、なおも貪欲に辺りの木々を焼き払い、大地を、そして天を揺るがす。 しかしながら、ダオスとミトスは気付くことが出来なかった。 断罪の爆光がシャーリィを呑み込む直前、シャーリィの皮袋から偶然落ちた、青い宝石の存在に。 まるで、真相を知るものならば、かの者の激しい怨念が、そうさせたかのように思えるだろう。 同じく「それ」を肉体に埋め込まれ、そして無残な死を遂げた滄我の長老、マウリッツ・ウェルエスの怨念が。 とにもかくにも、シャーリィの左手には、今や確かにその青い宝石は零れ落ちていた。 皮肉か、はたまた僥倖か、彼女にもまた、マウリッツと同じ運命が訪れようとしている。 左手に埋まった、要の紋を持たないエクスフィア。 エクスフィアは白い光の中、全てを知ったかのように光り輝いていた。

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スキット〜デリス・カーラーン編〜

デリス カーラーン

彗星のマナの源となっているもの。 かつてがデリス・カーラーンから移住するときに地球に移植した。 そうすることでにを導き、生命の源を得た地球は、数々の精霊を生み、人間やドワーフを生んだ。 しかし、によってマナを消耗され、停戦時には大いなる実りのみを地上に残して朽ち果てようとしていた。 彗星からマナを得れば大樹として復活できるが、彗星の接近は数十年後であり、 それまで、世界を二つに分断しマナを吸い合い少ないマナで耐えねばならなかった。 後の彗星の接近時、二つの世界の指導者たちはマナの独占のために大軍をひきいたが、 の犠牲により、からくも大いなる実りを守ることができた。 しかし、このとき大樹復活のためのデリス・カーラーンのマナはマーテルを救うために マーテルと大いなる実りを融合しマーテルの精神を維持するために使用され、大樹は復活することができなかった。 以降、4000年たった現代では伝説上のものとされている 1部9章にて、シンフォニアの世界のを元にされたテセアラ領の世界樹として具現化されている。 その経緯上、はこの大樹の精霊として繋がりを有している。 しかし、具現化された際にファンタジアとラタトスクの騎士の世界のアニマが流入し、が発生。 大樹はファンタジアの世界のアニマに対する拒絶反応を起こし、根が暴走。 街の一つが壊滅、が半壊する被害を及ぼした。 最終的にがの内部の空間に入って、そこで混ざり合っていたアニマを分離した事で正常な具現化状態に修正され、暴走は終息した。 イベント「ラザリスとカノンノ」では、具現化に伴うがなされた結果、内部に「生命の場」ができた。 ダオスの妨害を受け世界樹ユグドラシルの生命の場を諦めたラザリスは、こちらの生命の場を奪おうと画策したが、とに阻止された。 しかし、フェアリーズレクイエム編11章では、に寄生されてしまい、死鏡精がを内部に大量に集めている影響で、異常成長が観測されている。 イベント「彷徨える大樹の精霊」では、が精霊マーテルを具現化しようとして失敗した際に歴代の達の魂が具現化。 彼女らの魂は精霊の如く大樹に宿っていたが、ラザリス具現化によるレイヤード処理や死鏡精の寄生により、大樹が変質して、宿る場所が失われ始める。 そこへ、帝国が再びマーテルを具現化しようとして失敗した結果、「大樹カーラーンの精霊はマーテル」と大樹の理が書き換えられた事が決定打となり、ラタトスク共々世界樹との繋がりを断たれてしまう。 精霊であるラタトスクと違い、大樹との繋がりを再び得る事ができなかった彼女らの魂は、と融合するまで、世界を彷徨っていた。

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デリス・カーラーン

デリス カーラーン

デリス・カーラーンの赫怒 デリス・カーラーンの赫怒 「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇっ!!!」 口元から散るよだれを拭おうともせず、シャーリィ・フェンネスはただ、自身の真紅の殺意に命じるまま、人差し指でトリガーを叩いた。 曙光抜けやらぬ空の下、鉛色の死が、マーテルとマリアンに容赦なく降り注いだ。 ウージーサブマシンガンから放たれる弾丸は、たとえ戦士でさえ捉えることは困難なほど高速で飛来する。 ましてや、それを受けようとしているのは、戦う力を持たないマリアンと、そして戦士としての訓練を受けていないマーテル。 すなわちウージーの掃射は、彼女らに下る死刑宣告。 これを浴びれば全身の肉は引き裂かれ、骨も砕け散る。 ただそこに残るのは、惨めな死だけだ。 しかしながら、彼女らには騎士が傍らに控えていた。 強大な力を備えた、2人の騎士が。 「ッ粋護陣っ!!!」 ミトスは即座に身をかがめながら、得物を地面に突き刺し、闘気を瞬時に練り上げる。 緑色の闘気の障壁が球と化してミトスを包み、ウージーの射線を断つ。 ミトスもまた、かつてクラトスにこの技を教わった者の1人なのだ。 くしくも、クラトス直伝の秘技は、ロイドとミトス…二人の手により繰り出され、二度もシャーリィのもたらす死を阻んだのだ。 ぎいん、ぎいん、と連続で鳴り響く銃弾の潰れる音。 周囲に無数の鉛弾が跳弾を起こす。 鉛弾の威力を殺し切ることは出来なかったが、ダオスもマーテルもマリアンも、みなミトスの後方に控えていたため、流れ弾を食う心配はなかった。 シャーリィが標的の殺害に失敗したと気付いた頃には、シャーリィの視界は青一色に染まっていた。 「受けるがいい! タイダルウェーブ!!」 ダオスが後方で詠唱していた呪文に、自らの身を絡め取られたシャーリィは、たちまち地に着いた足を払われ、もんどりうって転倒した。 激流が、彼女の身に襲い掛かっていた。 「…お見事、ダオス!」 ミトスは珍しく、子供らしい物言いでダオスの協力に快哉を上げる。 「…あの妙な武器…確か『銃』と言ったか…の弾ごと、タイダルウェーブでなぎ払ってやろうと考えたが、お前のお陰で弾を払う手間が省けたな」 ダオスはかつて読んだ、デリス・カーラーンの古文書にあった記述から、シャーリィの武器の知識を引き出していた。 ダオスは多少の打撃なら、詠唱のための集中を乱さずに耐えられる自信がある。 タイダルウェーブを発動させるまでの間は、自らを「銃」の盾にしようと考案していたが、ミトスのお陰でその危険も省かれたようだ。 「それにしてもあの子…」 粋護陣を解いたミトスの眉間には、子供らしからぬしわが浮いている。 そのしわはかすかな困惑と、そして明白な怒りに彩られていた。 「…昨日はマーテルとともにいたと思ったら、今度はこの返礼か!」 それはまた、ダオスと同じこと。 ダオスの周囲で再び濃密なマナが渦を巻き、彼の外套と金髪を舞わせる。 「この落とし前は、きっちりつけてもらわないとね…姉さま?」 「…分かっているわ。 剣が必要なのでしょう?」 マーテルは祈るように二言三言呟きながら瞳を閉じ、そしておのが皮袋に手を差し入れた。 引き出したのは、ねじくれた刀身と禍々しい光を帯びた剣…邪剣ファフニール。 「…使うのね、二刀流を」 「うん…」 ミトスは、強い決意を胸に秘めて、か細いながらもはっきりと、その意志を示した。 かつてミトスがシルヴァラントとテセアラの英雄と祭り上げられていた時代、彼が得意としていたのは二刀流。 両の手に握り締めた剣と共に、彼は戦乱の大地を駆け抜けてきたのだ。 彼が二刀を欲している、ということは、つまり今がそれほどの事態である、ということに他ならない。 マーテルとてむやみに人の傷を増すような行為に手を貸すのは不本意だが、ミトスの真剣な目は、そのマーテルをして剣を渡さしめるほどに輝いていた。 邪剣ファフニールを握り締め、もとあったロングソードと共に構えるミトス。 瞳をつぶって振り向き、マーテルに背を向ける。 「姉さま…行って来る」 ミトスの背に、制止の声をかけることなど、もはやマーテルには出来なかった。 「ダオス…僕は『先に』行く。 後からついてくるんだ」 その言葉を最後に、ミトスは忽然とその姿を消した。 全身ずぶ濡れになり、吹き飛ばされ、地面に寝かせられる形となったシャーリィは、不気味に独り言を呟き続けていた。 殺したと思った。 殺していたと思っていた。 期待してたのに。 あの女の顔面が、焼くのを失敗してしまったイチゴのパイみたいに、ぐちゃぐちゃのバラバラになっていたはずなのに。 むかつく。 むかつく。 むかつくむかつくむかつく…殺す! シャーリィは、自身の狂気と憤怒の命じるままに、再びマシンガンを掲げた。 うざったい邪魔者もろとも、ぶち殺す。 豚より惨めな死を、あいつらにプレゼントしてやる。 みんな死ね。 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇっ!!! ウージーのトリガーにかかった人差し指に、力を込めようとした、その瞬間だった。 「その辺にしておくんだね」 !? 背後を取られ…!! その次の瞬間には、シャーリィの両の手首は、紙一重ほどのぶれもない、二筋の剣閃に切り裂かれていた。 「いやあぁぁっ!!?」 シャーリィはたまらずに、そのまま膝を屈し、地面にくず折れる。 鮮血があふれ、彼女の衣服を汚していく。 「切り落とせるほど深くは入っていないけれど、手首の血管をやられたみたいだね」 ミトスは、今や膝を屈したシャーリィを背に、悠然とたたずんでいた。 ミトスがたった今行った術は、瞬間移動。 彼を除けば、マナの楔たる精霊など、ごく一部の者のみが扱える行為の術の1つだ。 最も、この術を使ったところで、あまり長い距離を移動することは出来ない。 せいぜい、歩いて数十歩程度の範囲が、ミトスの跳べる距離だ。 それでも、この一撃はシャーリィにとってはかなりの不意打ちになったはず。 深くは切れていないが、もはやこれで銃を握ることは… 「!!」 だがそれは、シャーリィの抵抗の終わりを示す、チェックメイトにはなりえなかった。 手首を切り裂いた思っていたシャーリィの衣服が舞い、ミトスに強烈な後ろ蹴りを見舞っていた。 シャーリィのかかとは、紛れもなくミトスの股間に突き刺さっていた。 「ぬああぁぁっ!!」 あろうことか、シャーリィが繰り出したのは金的蹴り。 男性の暴漢に襲われた際、効果的とされている護身術の1つだ。 今は亡きセネル・クーリッジが、妹であるシャーリィに教えた簡単な護身術。 暴漢に取り押さえられた時の脱出の技を、シャーリィはかけていたのだ。 彼の兄は、このゲームで最初に脱落したとはいえ、こうして今でもシャーリィの身を守っている。 シャーリィは兄に…兄の教えに感謝しながら、今の標的を改めて見定めていた。 「くそぉっ!!」 金的を強打された激痛で、たまらず意識が混濁するミトス。 今度膝を屈していたのはミトスの方であった。 「さっさと死ねよ…うぜーんだよ、ばーか」 続けざまにミトスの繰り出されたのは、痛烈なトーキック。 股間の激痛に身もだえするミトスに、この一撃をかわすことは出来ない! (万事休すか!?) だがミトスがそう思った次の瞬間、シャーリィの体はミトスから向かって、垂直に吹き飛ばされていた。 「ごげばぁっ!!?」 血と共に悲鳴を吐き出すシャーリィ。 赤い尾を引きながら宙を舞い、後方の木の幹に背を思い切り叩きつけられた。 「…私を忘れるな、ミトス」 刹那、ミトスの目の前で舞ったのは、金色の外套だった。 シャーリィがどいたがために開けた視界の前に立つは、金髪の偉人ダオス。 回し蹴りをシャーリィのどてっ腹に叩き込み、シャーリィを吹き飛ばしていたのだ。 「ダオス…済まない」 「これで私もお前を助けたから、貸し借りはなしだな」 ダオスはそう言いながら外套を翻し、意識のあるなしも定かではないシャーリィの方へ向き直った。 「さて、貴様がマーテルに牙を剥いた罪、どのようにして裁いてくれようか」 大股でシャーリィに歩み寄ったダオスは、シャーリィの頭をつかみ上げて、無理やり地面から立ち上がらせる。 「私に何をす…!!」 次の瞬間、シャーリィの体は、ダオスの渾身の一振りで宙を舞っていた。 そしてまた次の瞬間には、シャーリィの腹部から太い木の枝が、肉を突き破って生えていた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 ダオスはシャーリィの体を放り投げ、手近な木の枝に、シャーリィ突き刺していたのだ。 一言で言えば、今やシャーリィはモズのはやにえ。 木の枝に腹部を貫かれ、無理やりにぶら下げられているのだ。 恐怖と激痛のあまり、涙と血をとめどなく流すシャーリィ。 失禁して垂れ流れてきた尿が、シャーリィの下半身を新たに濡らしていく。 「…貴様だけは例え謝っても、決して許さん。 そこならば、何があろうと逃れることは出来まい。 救いのない確実な死を、貴様に見舞ってくれる」 刹那、ダオスは胸の前に両の手のひらを掲げ、そこに魔力を集中させる。 白く輝く球体が、鼓動を打ち始める。 「…ダオス、ボクも手伝うよ」 そこにいつの間にか並んでいたのは、ミトス。 ミトスもまた、胸の前に白い球体を掲げ、木の枝に刺さったシャーリィを眺めている。 「ミトス…」 「多分あんたも、ボクと似た技を使えるはずだろう? あんたがボクらの所から離れていたときのマナの乱れ方…ボクの技にそっくりだったからね」 「…ふん、知っているなら、まあいいだろう」 ミトスの胸の前の球体は、すでにまばゆい輝きを放っていた。 ダオスはもうそれ以上何も言わずに、ミトスに倣った。 デリス・カーラーンの過去と…そして未来の王。 くしくも運命がめぐり合わせたこの二人には、似通った力が与えられていた。 純粋な魔力を両の手のひらに込め、それを光の柱に変えて撃ち出し、全てを焼き払う、その力が。 もはやまともに目を開けていることすら困難な、光の洪水がその場には起きていた。 「お前をこの世から…塵一つ残さず消滅させてやる!」 「貴様の魂ごと、この一撃で打ち砕いてくれるわ!」 次の瞬間、魔力の鼓動は、臨界点を突破していた。 デリス・カーラーンの赫怒が、ここに炸裂した。 「受けろ! ユグドラシルレーザー!!」 「これで終わりだ! ダオスレーザー!!」 ミトスとダオス。 二人の両手から放たれた極太の光線は、射線上の木々を、草を、葉を、全てを呑み込みながら、泣き叫ぶシャーリィへ迫る。 「「滅び去るがいい!! ダブルカーラーン・レーザァァァァァァッ!!!」」 放たれた二本のレーザーは、ちょうどシャーリィがぶら下がった辺りで交差し、周囲を白一色に染め上げた。 この島の北東部の空は、朝焼けの赤ではなく、白い光に染まる。 デリス・カーラーンの裁きが、この地に下ったのだ。 膨れ上がる爆光は、呑み込んだもの全てを塵に返しながら、なおも貪欲に辺りの木々を焼き払い、大地を、そして天を揺るがす。 しかしながら、ダオスとミトスは気付くことが出来なかった。 断罪の爆光がシャーリィを呑み込む直前、シャーリィの皮袋から偶然落ちた、青い宝石の存在に。 まるで、真相を知るものならば、かの者の激しい怨念が、そうさせたかのように思えるだろう。 同じく「それ」を肉体に埋め込まれ、そして無残な死を遂げた滄我の長老、マウリッツ・ウェルエスの怨念が。 とにもかくにも、シャーリィの左手には、今や確かにその青い宝石は零れ落ちていた。 皮肉か、はたまた僥倖か、彼女にもまた、マウリッツと同じ運命が訪れようとしている。 左手に埋まった、要の紋を持たないエクスフィア。 エクスフィアは白い光の中、全てを知ったかのように光り輝いていた。

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