新型 コロナ 抗体。 新型コロナウイルス検査 「PCR検査」と「抗体検査キット」の違いは?(柳田絵美衣)

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新型コロナウイルスへの感染の有無がわかる「抗体検査」が注目されている。 どこまで流行が広がっているのかを把握できるうえ、抗体があれば、新型コロナに再び感染しないと考えられるからだ。 海外では抗体を持つ人に社会活動を認める「出口戦略」に使う動きもある。 だが、抗体の仕組みにはわからないことも多く、検査の精度もまだ不十分など課題は多い。 新型コロナウイルスは鼻やのどなどの粘膜に感染して増える。 ウイルスを排除しようと、免疫反応が起こる際に作られるたんぱく質が抗体だ。 感染から2~3週間後に、ウイルスの表面にくっつきやすい形のものが大量につくられ、簡易キットを使えば採血から15分で結果が出る。 一方、診断に用いられるPCR検査や抗原検査は、鼻の奥などをぬぐった液にウイルスがいるかを調べている。 日本はPCR検査を症状の重い人に優先して実施してきたため、検査を受けていない無症状や軽症の感染者が多いとみられる。 そこで、抗体検査を広く実施し、実態をつかもうとする動きが始まった。 ただ、新型コロナが発生していない昨年1~3月の献血からも陽性が出て、実際には感染していない「偽陽性」と判断された。 さらに規模を広げて実態を把握するため、6月から1万人規模の検査を始める方針だ。 医療機関が独自に検査を行った例もある。 州の人口に単純にあてはめると、感染者は270万人に上り、確認されている感染者の7倍を超える。 感染者数が少ない地域で大規模に抗体検査をすると、誤差の影響が大きく出てしまうという問題がある。 抗体検査を感染の広がりを把握するだけではなく、個人が免疫を持っている証明に使おうという動きもある。 麻疹(はしか)は一度感染して発症すれば、生涯免疫が続く。 新型コロナでも、一度感染すればしばらくは再感染しないという期待があり、英国では抗体のある人に証明書を出して、外出を認める「免疫パスポート」の構想もある。 だが今のところ、抗体があれば再感染しないという根拠はない。 世界保健機関(WHO)は4月下旬、抗体を持つ人が再感染から守られているという証拠はまだないと警鐘を鳴らした。 たとえ抗体に再感染を防ぐ効果があっても、免疫が徐々に減り、なくなってしまう可能性もある。 中国の研究グループの論文によると、コロナウイルスの仲間のSARS(重症急性呼吸器症候群)では、感染して3年目になると、体内の抗体が減っていた。 新型コロナではどうかはわからず、今後の研究が必要だ。 山形大病院検査部の森兼啓太部長は「抗体検査が陽性の人の割合は、感染の広がりを知るための一つの目安にすぎない。 無症状のまま回復した人でも抗体がみつかるのかなど、まだまだ新型コロナの抗体についてはわかっていない部分が多く、検査の結果の評価は難しい」と指摘する。 (後藤一也).

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新型コロナ:ワクチンが効かない? 新型コロナで浮上する抗体問題 (写真=ロイター) :日本経済新聞

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終息の見通しが付かない新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)。 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、2020年3月23日の記者会見で、「パンデミック(世界的な大流行)が加速している」と表明した。 WHOが同日に公開した資料からも、主に欧州と米国での感染者が急激に増えていることがわかる。 感染拡大に歯止めが効かない中、期待が高まっているのがワクチンだ。 新型コロナウイルスに対するワクチンを巡っては、米トランプ政権がワクチン開発に取り組むドイツの新興企業キュアバク社に対して、多額の資金提供の見返りに米国だけに独占的にワクチンを供給させようとしたなどの疑惑が、20年3月中旬に複数のメディアで報じられた。 キュアバク社は3月15日、これらの報道を否定。 世界中の患者を対象に、ワクチン開発を進めていると強調した。 その後、3月16日には欧州連合(EU)の欧州委員会がキュアバク社のワクチン開発を支援するために、8000万ユーロ(約95億円)を提供したことも発表している。 これらの一連の騒動からも、世界中が新型コロナの感染拡大に焦りを感じると共に、ワクチン開発に大きな期待を寄せていることがうかがえる。 病原体に感染する前にあらかじめ投与しておくことで、病原体に対する免疫を獲得できる。 免疫は、そのメカニズムによって2つに大別される。 1つ目は、液性免疫と呼ばれ、ワクチンの接種や過去の感染によって体内で作られる抗体が活躍する。 抗体には、病原体などに結合することで感染力や毒性を失わせる作用を持つものや、マクロファージなどの免疫細胞による取り込み・処理を助けるものなどがある。 2つ目は、細胞性免疫と呼ばれ、マクロファージやキラーT細胞といった免疫細胞が病原体や病原体に感染した細胞を直接取り込み(貪食と呼ばれる)、処理することで体を守るシステムだ。 左は新型コロナウイルスの電子顕微鏡像(提供:国立感染症研究所)、右は模式図。 ウイルス表面の突起状のS蛋白質が特徴的だ 現在、米国や中国を中心に複数の企業がワクチンの開発を進めている。 開発中のワクチンの種類は多岐にわたるが、その多くは、病原体である新型コロナウイルスの一部を抗原としたワクチンだ。 その中でも、細胞に感染するために必要となる、ウイルス表面に発現したスパイク(S)タンパク質という部分を、抗原として利用する研究開発が盛んだ。 既に幾つかのワクチンでは、実際にヒトに投与して、安全性や有効性などを検証する臨床試験が始まっている。 その1つが、ワクチンの接種などにより起こりうる「抗体依存性感染増強(ADE)」と呼ばれる現象だ。 本来、ウイルスなどから体を守るはずの抗体が、免疫細胞などへのウイルスの感染を促進。 その後、ウイルスに感染した免疫細胞が暴走し、あろうことか症状を悪化させてしまうという現象だ。 ADEの詳細なメカニズムについては明らかになっていないことも多い。 ただこれまでに、複数のウイルス感染症でADEに関連する報告が上がっている。 例えば、コロナウイルスが原因となる重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に対するワクチンの研究では、フェレットなどの哺乳類にワクチンを投与した後、ウイルスに感染させると症状が重症化したとの報告があり、ADEが原因と考えられている。 また、ネコに感染するネココロナウイルス感染症でも、ウイルスに対する抗体を持ったネコが、再び同じウイルスに感染することで重症化するとの研究報告がある。 ネココロナウイルス感染症の研究に取り組む、北里大学獣医伝染病学研究室の高野友美准教授は、そのメカニズムについて、「抗体と結合したウイルスが、抗体の一部分を認識する受容体を介してマクロファージに感染する。 すると、マクロファージは症状を悪化させる因子を過剰に放出し、結果的に症状が悪化してしまう。 抗体の量が中途半端であると起こりやすいと考えられているが、どのような条件で起きるのかはよく分かっていない」と説明する。 高野准教授らは、ネココロナウイルス感染症に対して、抗体が関与する液性免疫を誘導することなく、細胞性免疫を優位に誘導するワクチンの開発に取り組んでいる。 高野准教授は、「新型コロナウイルスでADEが起こるかどうかは明確ではないが、細胞レベルの実験で検証できるはず。 既に検証している研究者がいてもおかしくない」と説明。 また、「細胞性免疫を誘導するワクチンの開発は、(ADEを防ぐための)1つの手段になり得る」(高野准教授)という。 また、新型コロナウイルスに関する米国の研究報告では、「ウイルスのSタンパク質のうち、感染において特に重要な役割を担う一部の領域をターゲットにしたワクチンを開発するべき」などと指摘。 加えて、「Sタンパク質に対する不完全な免疫(抗体)が誘導されれば、ADEが起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。 多くの人々が期待を寄せるワクチン。 海外に後れを取っているものの、一部の国内企業も開発に乗り出している。 日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長は、「ワクチンの研究開発では、政府がかなりの特例を出したとしても、有効性と安全性を科学的に検証した上で提供する必要がある。 大変悩ましいが、実用化までに1年以上かかるのが通例」と話す。 世界各国で、急ピッチで研究開発が進められているが、安全性の検証は避けては通れない。 新型コロナウイルスでも浮上したADEのリスクとどのように向き合うか、今後の研究に注目したい。 (日経バイオテク 三井勇唯) [日経バイオテクオンライン 2020年3月31日掲載].

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新型コロナウイルス抗体迅速検出キット 販売開始のお知らせ|ヤマト科学株式会社

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猛威を振るう新型コロナウイルス。 感染者数が日々増加するなか、連日耳にする「PCR検査」と「抗体検査(検査キット)」とは、どのような検査なのか?それぞれの特徴や両検査のメリットなどを解説したい。 PCR検査は、 現在ウイルスが体内に存在しているのか(感染しているのか)を調べることができる。 これに対して抗体検査は、 過去に感染したことがあるのかや、 現在の感染の状態(感染初期なのか、感染してかた時間が経過しているのか)、 ウイルスに抵抗する能力(抗体)をすでに獲得しているのか(人にうつしにくいのか)を調べることができる。 PCR検査では、鼻咽頭に綿棒などを入れ、 鼻の奥をぬぐった粘液(鼻咽頭ぬぐい液)や気道の奥から排出される痰を検査する(インフルエンザのように鼻の奥から検体を採取する)。 鼻咽頭ぬぐい液の採取は専門家(医療従事者)が行う。 検査キット(抗体検査)は、抗体が血液中に存在するため、 血液を採取して検査する。 PCR検査は抗体検査より精度は良いが、PCR検査も含むすべての検査で偽陽性(感染していないのに陽性と判定される)、偽陰性(感染しているのに陰性と判定される)がある。 偽陽性や偽陰性が起こる原因は、使用する試薬や機材の精度や人為的なものなど様々なことが考えられる。 偽陰性の原因の一つとして、検体の採取方法や採取した検体に含まれるウイルスの量の差なども考えられる。 そのため、検体を採取する医療従事者は正確に、かつ確実に検体を採取する必要がある。 我々 臨床検査技師は、 専門の研修を受けた者のみが、この検体採取(鼻咽頭ぬぐい液の採取)を行うことができる。 以下からは、PCR検査、抗体検査それぞれについてさらに詳しく解説する。 このため、 「ウイルスが存在するか?」を確認するためにはウイルスのRNA(遺伝情報)の有無を確認することになる。 しかし「PCR検査」のPCRはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字をとったもので、 微量のDNA断片を増幅して検出する方法である。 つまり、 ウイルスの増殖に必要な設計図のようなものが含まれている。 DNAには、生物の体を構成する設計図(遺伝情報)が書き込まれている。 DNAは、鎖のような構造をした物質に書き込まれており、 DNAは二本の鎖が対になってらせん状の構造をしており、安定した状態にある。 DNAの二重らせん構造 体を構成する際には、この遺伝情報を コピーすることから始まる。 DNAの二本の鎖を解いて一本鎖にし、その鎖をコピーしていく。 これを「転写」と呼び、このとき コピーされたものがRNAである。 このコピーをもとにして蛋白質が作られ、体を構成していくのだ。 DNAとRNAの関係 RNAは 一本の鎖のみであり、DNAに比べて 不安定な構造をしている。 RNAを遺伝物質として持つRNAウイルスは、遺伝子としての安定性が低いことになる。 しかし、不安定であるがため、 変異スピードが速いことが特徴の一つでもある。 つまり、RNAウイルスは変異スピードがDNAウイルスよりも速いのだ。 RNAは不安定な物質であるため、取り扱いが難しい。 そのため、RNAウイルスを調べるためのPCR検査では、まず RNAを安定したDNAに変換してから検査を行う。 つまり、RNAウイルスの有無を検査するには、まずRNAをDNAに変換することから始まる。 これを「逆転写」と呼ぶ。 DNAやRNAは目に見えず、非常に小さな物質であるため、その存在を確認するには、ある程度の量が必要となる。 そのため、次に、量を増やす工程である「 増幅」を行うのだ。 DNAの数は1サイクルのPCRでおよそ 2倍に増えていく。 したがって、20サイクルのPCRにより、最初に存在したDNAのおよそ100万(2の20乗)になる。 これにより、採取された検体の中に新型コロナウイルスのRNAが含まれていれば、 RNAから変換されたDNAが増幅されて陽性となり、検体の中にRNAが含まれていなければ 何も増幅されないので陰性となるのだ。 PCR検査では、この 増幅工程に時間を要するため、 検査結果が判明するまでに数時間要するのだ。 一方、多くの企業や研究所が開発や輸入・販売している「(抗体)検査キット」は、 10~20分程度で結果が判明する。 検査キットで調べる 「抗体」は、ウイルスが体内に侵入した際に、体内で作られる物質である。 異物が体内に侵入した際に、異物に対して特異的に反応する蛋白質(抗体)を産生する。 産生された抗体は、 同一の異物が再度侵入してきた際に、その異物に対して抵抗する能力を発揮する。 IgMは異物(ウイルス)侵入の初期に出現し、他の物質とともにウイルスを中和する。 その後、IgGが出現する。 IgGはその異物に対して長期的な免疫を提供する役割を持つ。 つまり、抗体を調べることで 「感染したのか」ということを確認することができる。 IgMが出現していると、感染して間もないことを示し、 IgGが出現していると過去に感染し、ウイルスに抵抗する抗体をすでに獲得していることを確認できるのだ。 抗体検査(検査キット)は、精度は劣るが 「すでに感染した。 」「ウイルスに対する抗体を獲得している。 」ということ・・・つまり、 「今後感染し重症化する可能性がない」「他の人に感染させる可能性がない」ことを知ることが出来るため、それらの不安を解消することができる。 新型コロナウイルスが「一度感染すれば、再感染をしない」ということはまだ明らかではないが、多くの感染症に対しては証明されている。 サルについて行った実験で、一度、新型コロナウイルスに感染し、回復したサルがもう一度感染するかどうかを検証したところ、 再感染しなかったという研究結果が報告されている。 ヒトでも再感染しない可能性はあるのではないかと期待できる。 しかし、 抗体検査(検査キット)はスクリーニング検査の位置づけであるため、検査キットで陽性となった場合は、 医療機関で診察、診断を受けて欲しい。 状況に応じて、 検査法を使い分け、少しでも不安を解消することや、正しい処置を受けるなどして欲しい。 そしてもう一つ、知っておいて欲しい。 PCR検査は、どの施設の、誰でもが実施できるわけではないことを。 感染性のあるウイルスを取り扱うのなら、なおさらのこと。 適切な設備、適切な機材、正しい知識と正しい技術を持った専門家が揃わなければ、実施できない。 設備が不十分だと、さらなる感染を起こしてしまう可能性がある。 機材がなければ検査はできない。 適切な専門家がいなければ、正確な検査結果が出ない。 そのため、一度陰性の判定だったとしても、検査する時期や方法、手技によっては結果が異なる場合もある。 それは「どんな検査においても」である。 陰性と判定されても、感染対策はしてもらいたい。 あなたが媒介となって、 他の人にウイルスを運んでしまうことも有り得るのだから。 仮にあなたがウイルスに感染しても重症化しなかったとしても、あなたが媒介となって ウイルスを運んだ先に、重症化する恐れのある人がいる。 それが「自分の大切な人」だとしたら? 考えて欲しい。 誰かの命を脅かすようなことは決してしないで欲しい。 (*トップ画像以外のイラスト,表は全て筆者が作製したもの) 参考 ・臨床検査技術学13 免疫検査学, 医学書院, 1998 ・検体採取等に関する厚生労働省指定講習会テキスト 一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 3. 微生物学的検査等における検体採取に必要な知識・技能・態度(鼻腔拭い液、鼻咽頭拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引等の採取) ・Bao, L. , et al. , Reinfection could not occur in SARS-CoV-2 infected rhesus macaques. bioRxiv, 2020: p. 2020. 990226.

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