検察 ob 意見 書。 検察庁法改正に反対する元検事総長ら検察OBの意見書がガッカリ過ぎた

検察OB意見書が引用したジョン・ロックの訳者は安倍首相の大学時代の教授! しかも「無知で無恥」と安倍首相を徹底批判 |LITERA/リテラ

検察 ob 意見 書

首相官邸HPより 検察庁法改正をめぐる国民の怒りの声が止まらない。 と安倍応援団はいつものように「黒川弘務検事長の定年延長に恣意的な理由はない」「検察庁法改正は国家公務員法改正にあわせただけ」「提案したのは官邸でなく法務省」などと嘘八百をふりまいているが、そんな弁明を信じているのは、一部の頭の悪いネトウヨだけ。 ほとんどの国民は、安倍政権が自分たちの不正、汚職を握りつぶせる体制を維持するために黒川検事長を強引に定年延長させ、それを後付けで正当化する目的で、いま、検察庁法を改正しようとしていることを見抜いている。 こうした状況に、政府内部でも動揺が走っているようだ。 安倍首相周辺はいまも強行採決の姿勢を崩していないが、政権与党では採決への慎重論が出始め、法務省では安倍政権と政権に協力した幹部への批判が高まっているという。 「法務省内部では、官邸の意向を受けて、黒川検事長の定年延長と検察庁法改正の修正に動いた法務省の辻裕教事務次官に対する突き上げが凄まじいようだ。 このまま、法案が強行採決されれば、現役の法務官僚や検察官からも官邸と幹部の動きを告発する動きが出てきかねない。 前法相の買収事件捜査についても、強硬論が優勢になっているし、しばらくは法務省、検察の動きから目が離せない状態だ」(全国紙司法担当記者) 今回、こうした状況に追い込むのに大きな役割を果たしたのが、国民の声に後押しされるようにして出された、、松尾邦弘元検事総長ら大物検察OBが提出した意見書だ。 検事総長や検察幹部経験者が表立って政権の方針を批判するという前代未聞の行動に加えて、その内容が国民や政府関係者に大きなインパクトを与えた。 何しろ、安倍政権による黒川氏の定年延長や、検察庁法改正法案の具体的な問題点や説明の矛盾を徹底的に論破したうえ、安倍首相の法解釈の変更に対しては、〈絶対王政を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕は国家である』との中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢〉〈17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。 心すべき言葉である。 〉と真っ向批判。 〈時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ない〉と宣言したのだ。 「文案は、元最高検検事だった清水勇男氏がつくったもの。 それを松尾元検事総長も全面的に支持して、意見書提出となったと聞いている。 松尾氏は法務省刑事局長時代に通信傍受法を手がけているし、清水氏も公安部長なども歴任しているから政治的にけっしてリベラルなスタンスというわけではない。 ただ、2人とも現役時代からとにかく法運用には厳密で、法を無視し、手続きを歪める行為は許さなかった。 だから、今回の安倍政権のやり方、それを認めてしまった法務検察の弱腰に対して、怒りを抑えきれなかったんでしょう。 檄文といえるようなその激しい内容に法務省は震え上がったようです」(司法ジャーナリスト) ところで、この意見書には、安倍首相にとって痛烈な皮肉になっている箇所がある。 それは前述した「ルイ14世を彷彿」との批判に続く部分だ。 意見書ではこのあと、ジョン・ロックの著書『統治二論』を引いて「法が終わるところ、暴政が始まる」という言葉を安倍首相に突きつけているのだが、この訳をした加藤節氏は、安倍首相が大学時代、授業を取っていた成蹊大学の名誉教授なのである。 しかも、加藤氏は2016年、ジャーナリスト・青木理氏のルポ『安倍三代』(朝日新聞出版)のなかでインタビューを受け、教え子である安倍首相を「無知で無恥」「学生時代、勉強しなかったからだ」と徹底的に批判しているのだ。 今回の意見書には、『統治二論』の訳者としてわざわざ加藤節氏の名前を挙げられていたが、これは清水元検事がそのことを知っていて、「大学時代の先生が訳したジョン・ロックの本を読め」というメッセージを込めた可能性もある。 もっとも、安倍首相はおそらくジョン・ロックを読むことなどないだろう。 というか、ジョン・ロックを知ってるかどうかさえ怪しい。 実は、前述した青木氏のルポにはほかにも、成蹊大学時代に安倍首相を教えた教員のインタビューが掲載されているのだが、一様に、安倍首相の学生時代の勉強に対する消極的な姿勢を証言し、いまの偏った政治姿勢がそこから始まっているのではないか、と批判しているのだ。 今回、意見書に『統治二論』が引用されたことを機に、大学時代の安倍首相を教えた教員たちのインタビューの内容を紹介した本サイトの記事(2016年6月5日初出)を再録するので、ぜひ読んでほしい。 法手続きを無視し、民主主義を壊し続ける総理大臣がどうやって生まれたのかがおそらくわかるはずだ。 それは、学生時代のを指導していた出身大学・成蹊大学の元教員たちだ。 たとえば、安倍首相の出身学部である法学部で当時、教鞭をとり、安倍首相も授業を受けていたはずの加藤節名誉教授は、こんな厳しい言葉を投げかける。 「大学の4年間などを通して、安倍君は自分自身を知的に鍛えることがなかったんでしょう。 母校の恩師とは思えない手厳しさだが、加藤名誉教授の批判はそれだけに止まらない。 安倍首相が2013年3月の参院予算委員会で憲法の最高権威である故・芦部信喜氏を「知らない」と言い放ったことを挙げて、さらにこう指摘している。 「(晋三氏は)政治学科ですし、憲法もしっかり勉強しなかったんでしょうね。 しかし、改革を訴えているのに、(芦部を)『知らない』なんて言うべきではない。 まさに無知であることをまったく恥じていない」 このインタビューは、2015年から「AERA」(朝日新聞出版)誌上で断続的に連載されているジャーナリスト・青木理のルポ「安倍家三代 世襲の果てに」に掲載されたもの。 もっとも、加藤氏は2015年の安保法制の際、成蹊大学で結成された「安全保障関連法案に反対する成蹊学園有志の会」の呼びかけ人代表であり、「9条科学者の会」にも名を連ねるリベラルな学者。 そういう意味では、痛烈な批判が飛び出しても、当然な部分もある。 正直いいますと、忠告したい気持ちもあった。 よっぽど、手紙を書こうかと思ったんです」 こう証言するのは、元外交官で中国政治史を軸とする国際政治学者、そして成蹊学園専務理事まで務めた学園の最高碩学といえる宇野重昭名誉教授だ。 宇野氏は、「AERA」連載ルポの最終回(5月2・9日合併号)で青木氏の取材に答え、教え子である安倍首相との関係についてこう語っている。 「彼(晋三)が入学した当時、私は国際政治学とアジア研究を担当していました。 たくさんの学生の一人として彼を見て、成績をつけたのは覚えています。 政界入り後も食事をしたり、ゆっくり話をしたこともあるので、ある程度の人柄も知っているつもりです」 「私はどちらかというとリベラリストですが、決して右でも左でもない。 中国の要人や知識人に会うと、彼(晋三)をすごく批判し、極右だと言わんばかりだから、『そんなことはありません』とも言ってきたんです」 恩師であり、理解者。 そして教え子を批判する者たちからかばってきたという宇野氏。 だが、その宇野氏ですら、現在の安倍首相の姿や政策には忸怩たる思いを抱かずにはいられなかったようだ。 宇野氏はなんと、このインタビューで涙を浮かべながら安倍首相をこう批判したという。 「彼は首相として、ここ2、3年に大変なことをしてしまったと思います。 平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」 「現行憲法は国際社会でも最も優れた思想を先取りした面もある。 彼はそうしたことが分かっていない。 もっと勉強してもらいたいと思います」 「彼の保守主義は、本当の保守主義ではない(略)彼らの保守は『なんとなく保守』で、ナショナリズムばかりを押し出します(略)私は彼を……安倍さんを、100%否定する立場ではありません。 数%の可能性を、いまも信じています。 自己を見つめ直し、反省してほしい。 もっとまともな保守、健全な意味での保守になってほしい。 心からそう願っています」 普通は、自分の教えていた大学から首相を輩出するというのは名誉なはずだが、今、その教え子が現実にやっていることを目の当たりにしたら、やはり学者として黙っていられない、そういうことなのだろう。 しかも、この「AERA」で証言している成蹊大学関係者の口からは、安倍首相の本質につながるような指摘も出てきている。 「ゼミの場で彼(晋三)が発言しているのを聞いたことがない。 (略)ゼミで彼が熱心に自分の主張を口にしたとか、リーダーシップを発揮して議論をリードしたっていう記憶は皆無です。 彼が卒業論文に何を書いたのかも『覚えていない』って佐藤先生がおっしゃっていました。 『立派な卒論はいまも大切に保存してあるが、薄っぺらな卒論は成蹊を辞める時にすべて処分した。 彼の卒論は、保存してある中に含まれていない』って」 前出の加藤氏も同様に、安倍首相の影の薄さを指摘している。 「安倍君も私の授業を受けているはずなんですが、まったく記憶にないんです。 (略)授業の後、質問に来た記憶もない。 平凡な学生だったんでしょう。 (安倍氏が政界で知られるようになってから)先輩や同僚に聞いてみたんですが。 ほとんど覚えていないと言うんです」 青木氏はこうした数々の証言から、〈岸の政治的思想を深く突き詰めて思索を下支えする知性をきたえあげた様子もない〉〈16年も籍を置いた学び舎で何かを深く学んだ形跡がない〉と喝破している。 そして、安倍氏が代わりにやったことが、自分の周りを理解者だけで固めてしまうことだった。 安倍首相と学生時代から深い付き合いのあった前出の恩師・宇野氏は、その性格や行動をこう言い表している。 「気の合った仲間をつくり、その仲間内では親しくするけれど、仲間内でまとまってしまう。 アベノミクス失敗の批判を免れるためだけにサミットで手前勝手なデータを捏造し、「世界の経済危機」などという大ウソを世界に発信し、公約や前言を簡単に翻すことに、何の躊躇もなく恥じることがない。 執筆者の青木氏は安倍首相のことを〈空疎な小皇帝〉と称しているが、まさに本質を突く表現だろう。 しかし、その空っぽなものによって、日本はとんでもない危険な道に引っ張り込まれようとしている。 成蹊大学の恩師達の言葉にもっとも真剣に耳を傾けなければならないのは、私たち有権者なのかもしれない。 (野尻民夫).

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注目裁判・話題の会見:首相の姿勢によぎる「朕は国家」の言葉 検察OB、危機感込めた意見書全文

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2020年5月17日 日 検察庁法改定案反対 検察OBの意見書(全文) 松尾邦弘・元検事総長らが検察庁法改定案に反対して15日に発表した検察OB14人連名の意見書の全文は以下の通り。 1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年2月8日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の1月31日、その定年を8月7日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止(とど)まっている。 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。 従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。 しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。 これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。 一説によると、本年4月20日に京都で開催される予定であった第4回国連犯罪防止刑事司法会議で開催国を代表して稲田氏が開会の演説を行うことを花道として稲田氏が勇退し黒川氏が引き継ぐという筋書きであったが、新型コロナウイルスの流行を理由に会議が中止されたためにこの筋書きは消えたとも言われている。 いずれにせよ、この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。 この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。 2 一般の国家公務員については、一定の要件の下に定年延長が認められており(国家公務員法81条の3)、内閣はこれを根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定したものであるが、検察庁法は国家公務員に対する通則である国家公務員法に対して特別法の関係にある。 従って「特別法は一般法に優先する」との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される。 定年に関しては検察庁法に規定があるので、国家公務員法の定年関係規定は検察官には適用されない。 これは従来の政府の見解でもあった。 例えば昭和56年(1981年)4月28日、衆議院内閣委員会において所管の人事院事務総局斧任用局長は、「検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されない」旨明言しており、これに反する運用はこれまで一回も行われて来なかった。 すなわちこの解釈と運用が国法上定着している。 検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。 捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。 捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。 時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。 検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。 その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。 こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。 検察官も一般の国家公務員であるから同法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たないのである。 3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。 これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著『統治二論』(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。 心すべき言葉である。 ところで仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。 これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。 現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。 引き合いに出されるゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い替えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。 法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。 4 4月16日、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる国家公務員法改正案と抱き合わせる形で検察官の定年も63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案が衆議院本会議で審議入りした。 翌17日、野党側が前記閣議決定の撤回を求めたのに対し菅義偉官房長官は必要なしと突っぱねて既に閣議決定した黒川氏の定年延長を維持する方針を示した。 こうして同氏の定年延長問題の決着が着かないまま検察庁法改正案の審議が開始されたのである。 この改正案中重要な問題点は、検事長を含む上級検察官の役職定年延長に関する改正についてである。 すなわち同改正案22条 5 項には「内閣は(中略)年齢が63年に達した次長検事又は検事長について、当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事又は検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事又は検事長が年齢63年に達した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事又は検事長が年齢63年に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる(後略)」と記載されている。 難解な条文であるが、要するに次長検事および検事長は63歳の職務定年に達しても内閣が必要と認める一定の理由があれば1年以内の範囲で定年延長ができるということである。 注意すべきは、この規定は内閣の裁量で次長検事及び検事長の定年延長が可能とする内容であり、前記の閣僚会議によって黒川検事長の定年延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするものである。 これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。 これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤榮樹著『だまされる検事』)。 検察庁法は、組織の長に事故があるとき又は欠けたときに備えて臨時職務代行の制度(同法13条)を設けており、定年延長によって対応することは毫(ごう)も想定していなかったし、これからも同様であろうと思われる。 今回の法改正は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意図していると考えられる。 5 かつてロッキード世代と呼ばれる世代があったように思われる。 ロッキード事件の捜査、公判に関与した検察官や検察事務官ばかりでなく、捜査、公判の推移に一喜一憂しつつ見守っていた多くの関係者、広くは国民大多数であった。 振り返ると、昭和51年(1976年)2月5日、某紙夕刊1面トップに「ロッキード社がワイロ商法 エアバスにからみ48億円 児玉誉士夫氏に21億円 日本政府にも流れる」との記事が掲載され、翌日から新聞もテレビもロッキード関連の報道一色に塗りつぶされて日本列島は興奮の渦に巻き込まれた。 当時特捜部にいた若手検事の間では、この降って湧いたような事件に対して、特捜部として必ず捜査に着手するという積極派や、着手すると言っても贈賄の被疑者は国外在往のロッキード社の幹部が中心だし、証拠もほとんど海外にある、いくら特捜部でも手が届かないではないかという懐疑派、苦労して捜査しても造船疑獄事件のように指揮権発動でおしまいだという悲観派が入り乱れていた。 事件の第一報が掲載されてから13日目の2月18日検察首脳会議が開かれ、席上、東京高検検事長の神谷尚男氏が「いまこの事件の疑惑解明に着手しなければ検察は今後20年間国民の信頼を失う」と発言したことが報道されるやロッキード世代は歓喜した。 後日談だが事件終了後しばらくして若手検事何名かで神谷氏のご自宅にお邪魔したときにこの発言をされた時の神谷氏の心境を聞いた。 「(八方塞〈ふさ〉がりの中で)進むも地獄、退くも地獄なら、進むしかないではないか」という答えであった。 この神谷検事長の国民信頼発言でロッキード事件の方針が決定し、あとは田中角栄氏ら政財界の大物逮捕に至るご存じの展開となった。 時の検事総長は布施健氏、法務大臣は稲葉修氏、法務事務次官は盬野宜慶氏(後に最高裁判事)、内閣総理大臣は三木武夫氏であった。 特捜部が造船疑獄事件の時のように指揮権発動に怯(おび)えることなくのびのびと事件の解明に全力を傾注できたのは検察上層部の不退転の姿勢、それに国民の熱い支持と、捜査への政治的介入に抑制的な政治家たちの存在であった。 国会で捜査の進展状況や疑惑を持たれている政治家の名前を明らかにせよと迫る国会議員に対して捜査の秘密を楯(たて)に断固拒否し続けた安原美穂刑事局長の姿が思い出される。 しかし検察の歴史には、捜査幹部が押収資料を改ざんするという天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件もあった。 後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し、きちんと育っていないのではないかという思いもある。 それが今回のように政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないかとの懸念もある。 検察は強い権力を持つ組織としてあくまで謙虚でなくてはならない。 しかしながら、検察が萎縮して人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定など公訴権の行使にまで掣肘(せいちゅう)を受けるようになったら検察は国民の信託に応えられない。 正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。 黒川検事長の定年延長閣議決定、今回の検察庁法改正案提出と続く一連の動きは、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ないものである。 関係者がこの検察庁法改正の問題を賢察され、内閣が潔くこの改正法案中、検察幹部の定年延長を認める規定は撤回することを期待し、あくまで維持するというのであれば、与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。 [追記]この意見書は、本来は広く心ある元検察官多数に呼びかけて協議を重ねてまとめ上げるべきところ、既に問題の検察庁法一部改正法案が国会に提出され審議が開始されるという差し迫った状況下にあり、意見のとりまとめに当たる私(清水勇男)は既に85歳の高齢に加えて疾病により身体の自由を大きく失っている事情にあることから思うに任せず、やむなくごく少数の親しい先輩知友にのみ呼びかけて起案したものであり、更に広く呼びかければ賛同者も多く参集し連名者も多岐に上るものと確実に予想されるので、残念の極みであるが、上記のような事情を了とせられ、意のあるところを何卒(なにとぞ)お酌(く)み取り頂きたい。 以上 令和2年5月15日 元仙台高等検察庁検事長 平田胤明 元法務省官房長 堀田力 元東京高等検察庁検事長 村山弘義 元大阪高等検察庁検事長 杉原弘泰 元最高検察庁検事 土屋守 元同 清水勇男 元同 久保裕 元同 五十嵐紀男 元検事総長 松尾邦弘 元最高検察庁公判部長 本江威憙 元最高検察庁検事 町田幸雄 元同 池田茂穂 元同 加藤康榮 元同 吉田博視 (任官期別順) (本意見書とりまとめ担当・文責) 清水勇男 法務大臣 森 雅子 殿.

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意見書は、ロッキード事件の捜査経験者ら14人の検察OBの連名。 複数の元検事長も含まれており、元検察トップらが政府提出法案に対し、公然と反対する行動を起こすのは極めて異例だ。 「心ある国民すべてが改正案に断固反対の声を上げて、阻止する行動に出ることを期待してやまない」としている。 意見書では、黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長の閣議決定を「違法だ」と指摘。 「定年を超えての留任という異常な状態が続いている」とした。 その上で、改正案は「違法な決議を後追いで容認するものだ」と指摘。 閣議決定から改正案提出の一連の動きは「検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとするものであり、看過できない」と厳しく批判した。 松尾氏は1968年に検事任官。 ロッキード事件では贈賄側を取り調べた。 法務事務次官を経て2004年から2年間、検事総長を務めた。 意見書に名を連ねたのは、堀田力・元法務省官房長や、村山弘義・元東京高検検事長、杉原弘泰・元大阪高検検事長、五十嵐紀男・元東京地検特捜部長ら。 (加藤あず佐).

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