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次の義勇くんと一緒! 〈設定〉 胡蝶さんと出向いた任務 倒した鬼の血鬼術に当てられ 10歳くらいになってしまった義勇 記憶無し 鬼:血鬼術で大人を子供にしてから食べるタチの悪いやつ。 義勇を囮に胡蝶の毒で何とか倒したが、まともに血鬼術をくらってしまった義勇 急いで幼児化した義勇をお館様の元に連れて行く胡蝶。 どうすれば元に戻るのか、鬼は死んだので分からず、胡蝶が調べることに。 その間、義勇の穴抜けをどうするか、義勇そのものをどうするか、半年も待たず柱達が召集された。 時を同じく、炭治郎、善逸、伊之助、3人は別任務で上弦の鬼と接触したと思われお館様に呼び出されていた。 [newpage] 「やぁ、みんな。 つい先日集合してもらったというのに悪いね」 「いえ、お館様の命とあれば、いつ如何なるどんな状況でも駆けつけるのが柱にございます」 穏やかなお館様の挨拶に答えたのは、柱歴の1番長い悲鳴嶼である。 そしてその悲鳴嶹を端に、他の柱が並んでいる。 更に距離が空いたところに、なんで今日なんだ!明日でもいいじゃないか!帰りたい!帰りたいよー、ねずこちゃーん!!!と柱を前に内心穏やかではない善逸、腹減った、とどこ吹く風の伊之助、この前集まったばかりなのに、一体何事だろう、あれ、冨岡さんがいないぞ、と兄弟子の所在を疑問に思う炭治郎が膝をついていた。 そして、そんなことはつゆ知らず、お館様は話し始める。 「ありがとう。 早速なんだが本題に入ろう。 おいで」 そうお館様は言うと、右後方にいる幼子を優しく促す。 そしておずおずとお館様の袖を持ちながら出てきたのは あの無口で口下手な水柱と瓜二つの幼子の姿。 胡蝶以外の柱が明らかに驚きと困惑の表情を浮かべる。 「な、な、な、んですか。 その童は!冨岡にそっくりじゃないですか!あいつの隠し子ですか?!」 目元に独特の化粧をしている自称祭りの神がいの一番に声をあげた。 冨岡と犬猿の仲である不死川、伊黒は驚きのあまり宇髄と幼子を交互に見つめ忙しそうだ。 「違うよ、宇髄。 この子は義勇の子ではない。 義勇なんだよ」 的確な答えをお館様は凛とした声で伝えるが、胡蝶以外は一様に疑問符を浮かべている。 義勇なんだよ?なんだよ?義勇?え?義勇なんだよ? 何度頭の中で反芻しても大脳が理解を拒んでいる。 「お館様、ここからは私が説明致します」 みなの動揺をひしひしと感じている胡蝶は苦笑いを浮かべながら手を挙げる。 そして、いつものように任務に出たこと、大人を子供に変える術を使う鬼だったこと、囮になった冨岡がそれに充てられてしまったこと、鬼は倒したのに血鬼術が解けないこと、以上重点を絞りながらみなが納得できるよう説明した。 「つまり、こいつは、あの無口な水柱様本人ってことなんだな?」 そう宇髄が問うと「残念ながら」と肩をすくめながら胡蝶は答える。 「さて、ここでみんなに集まってもらったのは他でもない。 義勇がこのままでは、義勇担当の警備地区に問題が出た時対処が遅れてしまう。 よって、みんなには申し訳ないが義勇の範囲を少しずつ振り分けてもらいたい」 「何の問題もありません。 」 「ありがとう。 理解ある子達で私も助かるよ。 」 そう微笑んだお館様に甘露寺は、頰を赤くする。 「そして、あともう1つ。 義勇が元に戻れるまで誰か面倒をみてほしいんだ」 2つ目の命をお館様が告げた瞬間、それまで顔を上げていた2つのそれが真下を向いた。 言わずもがな不死川と伊黒である。 滝のような汗が2人を襲っている。 「本来なら私が預かるのが1番だけれど、君たちも知っているように、あまり身体の調子が良くなくてね。 それに今の義勇は記憶がない。 鬼殺隊はもちろん、鬼についても。 そんな中1人で水柱邸に戻すわけにもいかないだろう。 だから君たちの誰かといた方が安心だと思うんだ。 忙しいとは思うが頼んだよ」 そう伝えるとお館様は咳き込み、ちょっと失礼するよ、と座敷の奥へと消えてしまった。 義勇の説明があるとはわかっていた胡蝶もまさか誰かが預かれと言われるとは考えておらず困惑である。 お館様の裾を掴んでいた義勇はそれが無くなると途端に不安そうな顔を覗かせる。 その姿はいつも無表情、無口、分かりにくい水柱とは別人のようである。 そして事もあろうに幼くなった義勇はてとてとと胡蝶の元へ近づく。 「へぇっ?!」 そして今まで生きてきた中で上げたことのないような声を出してしまった胡蝶だが、その原因は胡蝶の羽織を掴む義勇にあった。 「おいおい、誰が面倒見るかなんて明白じゃねぇか。 胡蝶、お前一択だろ」 「そうだな!1番冨岡が懐いているのは胡蝶のようだ。 我々は警備地区の振り分けでもしよう」 義勇と胡蝶の姿を見た宇髄と煉獄は、うんうん。 問題解決。 と呑気に頷いている。 「ちょっと待ってください!私は無理です!確かに今回の件については私にも責任があります。 けど、私は一刻も早くこの血鬼術の解除方法を調べるようにお館様から言われてるんです。 そんな中冨岡さんの面倒なんて見れるわけないです!」 ぜぇはぁ、と全集中常中をしている柱なのだが息を切らしながらまくし立てる。 また胡蝶の言うことは最もである。 早急にこの奇怪な血鬼術を解く方法を見つけなければならないのに、あの水柱の面倒とは、どう頑張っても全うできる気がしないのだ。 そしてそれを聞いた義勇は目に悲しみの色を浮かべながら胡蝶の袖を離した。 あっ、と声を漏らす胡蝶だが背に腹は変えられぬ。 罪悪感を抱きつつも義勇に向き合う。 「冨岡さん、決してあなたが嫌だから、というわけではありません。 単純に忙しいのです。 今ここであなたが知っているのは私だけだから私を選んだのでしょうけど、ここの人たちはみなあなたを知っています。 だから、安心してください」 幾分表情豊かなこの子供に違和感しかないが、懸命に笑顔を作り説明した。 「煉獄さんなんて、どうです?弟さんもいらっしゃいますし、ちょうどいいのでは?」 そう急に名指して呼ばれたのは炎柱、煉獄杏寿郎である。 「な、俺のところか?うーん。 いいぞ!」 悩むそぶりを見せときながら即決でいいぞ、と言った炎柱に他の柱が一気に顔を向ける。 「今の冨岡は記憶がないと言ったな。 ならばこの俺が水ではなく炎の呼吸を教えてやろう。 ただでさえいけすかん水の呼吸だ。 そうすれば今後も炎の呼吸は安泰だ!」 「いや、それはダメだろ!!!」 あろうことか水柱の存在そのものを消しかねない煉獄に的確にツッコむ音柱。 今回は彼が正しい。 そして、うーん、だめか?いい考えだと思うのだが、とブツブツ言い始める炎柱に冷たい視線を送る柱達。 「別におれがみてやってもいいけどなぁ」 そう呟くのは先程的確な指摘をした音柱、宇髄である。 「ただし俺には嫁が3人いる。 それを踏まえてだがな」 続いた言葉に胡蝶は顔をしかめる。 まだ柱の中でも幼い霞柱は遠くを見つめながらよく分からないといった顔を浮かべている。 鬼狩りについて変なことは教えなくても色ごとについてとてつもなく変なことを教えそうである。 この筋肉おばけは。 よって却下、と胡蝶の中で判断が下る。 不死川、伊黒は論外だし、霞柱の時透はまだ自身が誰かに面倒を見てもらうような年である。 甘露寺は先程から幼子になった義勇を可愛い可愛いと連呼しおり、あれはあれで危ない気がする。 行き先がなかなか決まらない様子を不安に思ったのか義勇は蹲り今にも泣きそうである。 そしてシーンと辺りが静まり返ったその時、この幼子は一言言い放ったのだ。 「ねぇね... 」 ギョッと柱達は一斉に義勇を見つめる。 大人の義勇は無口だが、数少ない言動行動の中に天然性があること。 その自由奔放なところはどんな生い立ちであれ、比較的可愛がられて育ったのではないかと。 そううすうすと柱達は常から思ってはいたのだ。 そしてそれが今、はっきりと。 弟属性の末っ子という彼本来の特性が爆発してしまった。 この幼子は、なんと、自分の姉を、しかも、姉さん、いや、百歩譲ってもお姉ちゃんが一般的だろう、という呼び名を、ねぇね、と言ったのだ。 正直に言おう。 柱の数人が、なんだこの生き物!可愛い!!と思ってしまった。 そして数秒時が止まったように感じたのは胡蝶だけではないはずだ。 そんな蹲る義勇を数人が見つめる中、最年長の彼がおもむろに口を開いた。 「では、冨岡に決めてもらうのはどうだ?誰だとしても恨みっこなし。 」 「おぉ!名案だな!」 冨岡のねぇね発言にも一切表情を変えなかった悲鳴嶹が提案すると煉獄が賛同する。 他のものもそれしか無いだろう、と内心理解していたため異議を唱えるものはいなかった。 ただ不死川の纏う空気はとてつもない程重く、大人でさえ近付きたくないのだから幼子の義勇が近付くとは到底思えなかった。 悲鳴嶹はその大き過ぎる体を屈め、必死に幼くなった義勇に近付いた。 「冨岡、君が決めるんだ。 誰を選んでも私達は君の意思を尊重する。 」 意思を尊重だなんて10歳ほどの義勇に理解できるのかと疑問だったが、悲鳴嶹の言葉を聞き、うん。 と首を縦にふる姿をみて、胡蝶はんんんっ!と口を噛み締めた。 普段とはまるで想像できない幼い富岡の姿に笑えばいいのか、悶えればいいのか、よく分からない心情である。 いいえ、だめよ、しのぶ。 感情を制御できないものは未熟者です。 いつぞやの大好きな姉から教わった言葉を思い出し心を律する。 そしてずらぁ、と並んだ柱の前を、てとてとと歩く幼い義勇。 1人ひとりの顔を見つめしばらく吟味しているようである。 「決めた!」 そう勢いよく駆け出した義勇少年は、誰もがその存在を忘れていた、市松模様の羽織を纏った少年の隣にいた。 「おにーちゃんがいい!」 「え、お、おれぇ?ですか!?」 そう高らかに叫んだのは、大人の義勇が進む道を示し、もしもの時は腹まで切ると宣言した際、静かに涙を流していた竈門炭治郎、その人である。 [newpage] こんにちは!初めまして! アニメから鬼滅の刃にはまり、早急に全巻購入し、皆様の描く鬼滅イラストや小説をみてニヤニヤするという、私と同じ境遇の方、多いのではないでしょうか?笑 そして何と便利な血鬼術! 何て私の性癖に突き刺さる義勇さん! 可愛すぎませんか! どうしても書きたいと思ってしまった幼児化義勇さん。 この後はお兄ちゃん力爆発な炭治郎と、弟属性爆発の義勇さんののほほんストーリー。 柱の人のところへお邪魔する短編、的なのを書きたいという願望は持ちつつ寝ることに致しましょう。
次のの続き。 捏造最終決戦で死んだ義勇さんが、冨岡義勇が存在しない過去の時間軸に逆行トリップし、しくしく泣きながらワンチャン目指す話。 いつにもまして捏造乱舞です。 錆兎と真菰の生家、生い立ち、水の呼吸一門の兄弟弟子、捏造してます。 半分くらい真菰視点です。 救えるものもあれば、取り零すものもあるということで、ちょっと後味悪いかもです。 2頁目に蛇足として軽く人物紹介みたいなの入れました。 読まなくてもたぶん問題ないです。 ついに原作全巻購入して、読むんだ……! 今から楽しみで、楽しみで! ただ一つ懸念は、原作読んだら二次創作書けなくなるかも、という。 頭が固いから原作にこだわってしまって、いつも書けなくなるパターン…… 続き全然出なかったら、察してください…… でも、まだ書きたいネタあるので、大丈夫だと信じてる!• 鬱蒼と繁る森のなか、木々の葉が重なり濃い影が落ちる。 暗闇のなかに義勇は居た。 僅かにさす月の光りが、義勇の藍の瞳を照らし青く揺らめいた。 枝葉の天蓋には二対の赤い星が閃く。 風が葉を撫ぜる音が義勇を越えていく。 風の音に追随するように瞬く間に赤い星が増えていく。 青い星のような光を宿した瞳が赤い無数の星を見つめて、一拍、天上の月を雲が覆い隠した。 月の光の途絶えた地上は暗く、伸ばした腕の先さえ見えない。 暗闇の中、未だ煌々と光る赤い星が殊更不吉に煌めいたかと思えば、地上に立つ義勇に向かって降り注ぐ。 凪によって頸を斬られた鬼たちが赤い目を見開きながら、黒い灰にかわり風に散らされて消えて逝く。 風に飛ばされた黒い灰の一片を何気なく目で追い、空を見上げた義勇の瞳には一際うつくしい真円の月がうつった。 「……錆兎」 月に兎の陰をみる。 夕暮れが海に繋がる川を橙色に染める。 夕方の川沿いの道は帰路を辿る人々の姿があり、賑やかだ。 ただひとり帰る場所のない義勇だけがぼんやりと道の端に立ち尽くし、色が変わっていく光景を見つめている。 「……さびと」 夕陽の鮮やかな色に錆兎を思い、涙がじんわりと眦を濡らしこぼれそうになった瞬間、義勇は後ろからの衝撃で川へと落下した。 派手な水飛沫を上げて川の浅瀬へと落ちた義勇は半分水に浸かりながら、茫然と元いた道を見上げた。 義勇にぶつかった子供が、焦った様子で川岸へと降りてくるのが見えた。 夕暮れの空と同じ色をした宍色の髪を揺らしながら、心配そうに下がった眉と藤色の瞳の少年が駆け降りてくる。 懐かしいその姿に息をのむ。 濡れた髪から滴る水が冷たく、頬を滴る水滴だけがやけに熱かった。 目の前に差し出された手の温もり、それはとても懐かしいもので。 川に落ちてずぶ濡れな上に、ぼろぼろと涙を流す義勇の手をひいて錆兎は自分の家へと連れ帰った。 昔、よく泣く義勇を錆兎は手をひいて鱗滝さんの家まで連れて帰ってくれた。 その時と同じように手をひかれ歩いていると、今まで我慢していた分の涙もあふれて止まらなかった。 錆兎の家は立派な侍屋敷で、廃刀令が出た今は剣術の道場をしているようだった。 門をくぐった所で遭遇した錆兎の父は、錆兎に事情を聞くと錆兎の頭に拳骨を落とし、義勇に向かって折り目正しく頭を下げた。 錆兎と良く似た髪質の寡黙ながら、優しい目をした男性だった。 錆兎は義勇を湯殿へ入れ、着物を着せ、濡れた衣服を外に干し、義勇の髪を櫛けずり手拭いでふき、温かいお茶を飲ませ、まるで弟にするように甲斐甲斐しく世話をした。 義勇は手のなかの湯のみをもてあそびながら、落ち着かなげに座り直す。 甲斐甲斐しく世話をされながら、義勇の頭の中は慕わしい兄弟弟子の姿に懐かしさに嬉しさと、どう接したら良いのかという戸惑いでいっぱいだった。 視線をさ迷わせた縁側の向こうには、質素ながら綺麗に整えられた庭が薄闇に沈んでいる。 「もう暗いので、今日は泊まっていってくださいませ」 今、錆兎がお部屋の用意をしておりますので、と上品に微笑んだ錆兎の母は、錆兎と同じ宍色の綺麗な髪をしていた。 突然息子が連れてきたずぶ濡れで号泣している男にも動じず、湯殿と着物の用意をし、錆兎に指示を出す凛とした女性だった。 錆兎は父にも、母にも良く似ている。 両親に愛されて錆兎は幸せに暮らしているのだと思うと胸の奥がほわほわと熱くなる。 「冨岡様、母上、失礼致します。 お部屋の用意が整いました!」 綺麗な姿勢で正座した錆兎は凛としていながら、弾んだ声で声をかけてきた。 その瞳は無邪気に輝き、頬は興奮で桃色に染まっている。 「……あの不躾ですが、冨岡様、おれ、いや、わたしに剣の稽古をつけてはいただけませんか!」 「それは……」 「父上が身のこなしから冨岡様はかなりの実力者では、と言っていました!是非、稽古をつけていただきたいです!!」 「……俺は、強くない」 一緒に修行をしていた時から錆兎は、これと決めたら絶対に譲らない男だった。 そんな錆兎の気性を義勇は慕わしく感じていたものだが、それは幼い時分から変わらないようだ。 結局、錆兎の熱意に負け道場で木刀を手に向かい合っている。 打ち込んでくる錆兎の剣をさばく。 その太刀筋はまっすぐで、まだ拙いもののきっとすぐに以前のように強くなるだろう。 「冨岡様、」 「義勇だ。 義勇と呼んでくれないか」 (昔みたいに) 「そんな、目上の方を呼び捨てになんかできません!」 錆兎の言葉に、めうえと小さく呟く。 昔は同じだった。 木刀を握る手の小ささも、こちらを見上げる目線も、ほとんど同じ位置にあったのに。 今はどうだろうか。 義勇の手は大人の手だ。 刀を握るために皮が厚く、骨張った、小さな傷もある大きな手だ。 あの頃から背も伸びた。 錆兎の目線は随分下にある。 錆兎はいつも義勇より大きく頼もしく見えたのに。 今は錆兎はまだ子どもで、義勇は大人だった。 もう、錆兎と一緒に成長できない。 もう、錆兎と背を比べられない。 もう、錆兎と一緒に競争できない。 もう、まえには戻れないのだと、急速に頭が冷えた。 温度を失っていく頭とは逆に、目元がじんと熱くなり、ぼろりと大粒の涙がこぼれた。 「そ、そんな、泣くほどか!?ああ、泣かないでください、そんな子どもみたいに……」 錆兎の手が涙に濡れる義勇の頬をぬぐう。 ぬぐったあとから、ぼたぼたとこぼれる涙に錆兎は眉を下げて困ったように笑う。 「困ったひとだ……、大人の男であんなに剣が強いのに、こんな風に泣かれたら、まるで弟みたいに思ってしまうだろう」 「ふ、ぅ、弟で、い、いから、義勇と呼んで、くれ」 錆兎が義勇の頭に手を回し、己の肩口に引き寄せた。 肩に顔を押し付け嗚咽をもらす義勇の頭を優しく撫でながら、錆兎は目を細めた。 「ずいぶん、大きな弟だなあ。 」 軽やかな声をあげて笑った錆兎は、錆兎の背にすがるように手を回した義勇を抱きしめ、囁くように義勇の名を呼んだ。 私たち鱗滝さんが大好きなんだ 木に叩きつけられた衝撃で、息がつまる。 ぶつけた背中が痛い。 息を吐き出した口から血が垂れる。 息をしなきゃ、呼吸を。 吸って、吐いて、はやく、はやくはやくはやく。 立ち上がって地面を蹴る。 足がもつれる。 飛んできた鬼の手に小突かれて、吹き飛ばされた。 遊ばれているのがわかって、さらに頭に血がのぼる。 鬼の嘲笑が頭の中をぐるぐる回って、憤怒と焦燥でいつぱいになって呼吸が乱れる。 冷静にならないといけないのに、鬼の言葉がずっと頭の中で繰り返し、繰り返し響いて、 『かわいい、かわいい、おれのきつねぇ』 鬼の声が聞こえる。 『鱗滝の弟子は全員喰ってやるって決めてるんだぁ』 鬼の笑い声が聞こえる 『もう11人喰った、おまえで12人めだぁ』 ……11、人 真菰はまだ物心がついたばかりの幼子の頃に鱗滝さんの所にやってきた。 幼すぎたためか、両親や家族のことをあまり覚えていない。 ただ鬼がやってきたあの夜、神主の父と母が小さな社に真菰を隠した時強く抱きしめてくれたぬくもりだけは今も確かに覚えている。 『真菰、なにが起ころうとあなたを愛しているわ。 』 『ここに居れば神様がおまえを守ってくれる。 声を出さない、ここから出てはいけない、約束だ』 『生きて、真菰』 そう言って閉じられた障子から透ける月光の青白い光が綺麗だった。 静かな夜だった。 境内の静謐な空気を引き裂くように不躾な哄笑が轟く。 ぞわりと寒くも無いのに鳥肌がたつ、訳もわからないのに本能がおぞましいものだと、悟った。 全身がガタガタと震えた。 外にいるはずの両親に会いたくて、小刻みに震えた腕を障子に伸ばした時だった。 青白い光を透かしていた障子が赤く染まった。 粘度の強い赤い液体が、ゆっくりと垂れて赤い縞模様をつくるさまを呆然と見つめた。 圧し殺したような悲鳴に血飛沫のとぶ濡れた音、肉を食み血を啜る音を、膜をはったように何処か遠くに感じる現実味のない頭で聞く。 『ぁ、お、ぁさん、っとさ、ん』 凍った喉からまろびでた掠れた声は、とても小さかった。 けれど、約束を破った罰だろうか。 赤い障子に黒い影が射す。 『みいぃつけたあぁ、かわいいこぉ』 障子の隙間に血に濡れた黒く鋭い爪がねじ込まれた。 ひどくゆっくりと障子が開かれ、ぎょろりと赤い血の色をした瞳と目が合った。 にたりと笑う鬼の向こうに、まんまると太った月をみた。 そうして喰われそうになった真菰を間一髪助けたのが鱗滝さんだった。 そうこうして色々あったあと、真菰は鱗滝さんの弟子として引き取られた。 鱗滝さんの元には既に兄弟子が三人いた。 まだ幼く修行に入れない真菰を本当の妹のように可愛がってくれた優しい兄弟子たちだった。 夜泣きした真菰を抱いて一晩中あやしてくれた一番上の長男気質の兄弟子は、真菰がきてしばらくして最終選別に向かった。 真菰に花の冠の作り方を教えてくれた優しくて綺麗な兄弟子は、その2年後最終選別に向かった。 はやく修行がしたいと癇癪をおこした真菰に拳骨を落として怒って、諭してくれた強面の兄弟子はその三年後最終選別に向かった。 年下の真菰を屈託なく姉弟子と呼ぶ素直で笑顔がまぶしい年上の弟弟子はその二年後最終選別に向かった。 彼らは二度と狭霧山に帰ってくることはなかった。 主を失った日輪刀を受けとる度に、中身のないお墓が増えていく。 真菰の手前、いつも通りの様子を崩さない鱗滝さんが夜が明けたばかりのまだ薄暗い時分に墓を訪れては背を丸め肩を震わせているのを知っていた。 帰ってこない兄弟子を思って泣く真菰を慰めてくれる兄弟弟子はもういない。 真菰はもう泣くのは止めた。 涙をぬぐうかわりに、刀を握る。 流した涙の数だけ刃を振るう。 真菰は必ず鱗滝さんのところに帰る 異形の鬼がにやにやとこちらを見る。 濡れたような赤い瞳がおぞましい愉悦の輝きでテラテラとぬめ光る。 「つかまえたぞぉ、かわいいきつねぇぇ」 真菰は四肢を鬼の手に捕まれ宙にぶら下げられていた。 地面には捕まった時に割れて落ちた厄除の面が転がっている。 花の模様の割れた狐面は、最終選別に向かうときに鱗滝さんがくれたものだ。 『必ず、生きて戻れ』 (生きて、真菰) 嗚呼、私も鱗滝さんを悲しませるの? 生きたい、生きたい生きたい!生きて、鱗滝さんの所に帰りたい!! なのに、四肢を掴む鬼の手を外そうと抗っても、びくともしない。 逆にどんどん力が強くなり、骨が軋む音をたてた。 「お人形みたいにぃ、手足をちぎって遊ぼうなあ。 まずは右腕からかなぁ。 」 鬼の手がゆっくりと右腕を引っ張る。 引き伸ばされていく手に、その先の痛みを想像して体が震える。 「震えてるな?かわいそうに。 だいじょうぶ、やさしく、ゆっくり、引きちぎってやるからなあぁ!!」 鬼の哄笑に、奥歯をきつく喰い縛る。 例え此処で殺されるとしても、誰が悲鳴などあげてやるものか。 例え死んでもこの鬼を喜ばせてなんぞやるものか。 胸を焼く憤怒を、憎悪を、殺意を込めて異形の鬼を睨み付ける。 ギリギリと引き伸ばされた右腕から関節の外れる音がやけに耳についた。 激痛に視界が白く染まる。 痛みにガタガタと激しく痙攣する。 のどの奥から漏れそうな悲鳴を必死に歯を喰い縛って噛み殺す。 ぼろり、と涙が頬を伝うのを感じた。 泣くな、真菰。 この鬼のために涙など流してやるな。 涙一粒、悲鳴のひとつこんな鬼のためにあげてなるものか。 突如気配もなく目の前を流麗な剣筋が閃いたかと思うと、鬼の手は切り落とされて真菰は地面へと落ちた。 地面に転がったまま、唖然と救い主の背を見上げる。 背を向けた男の背中が見える。 半分ずつで模様の違う変わった羽織を着た男だ。 大人の背丈の、選別参加者には見えない男は握った抜き身の刀を無防備に地面に向けていた。 男の背の向こうでは、異形の鬼が喚きながら宙に伸ばした無数の手で男を殴りつけようとするのが見えた。 その時、男と真菰の間の地面から鬼の手が生え、男の背を襲う。 危ない、と叫ぼうとした真菰の声は男の静かな声に遮られた。 瞬きをした間に鬼の手はすべて切り落とされ、何がおきたのかわかっていない呆然とした鬼の頚を男の刀が切り落とす。 黒い灰へと変わり崩れていく巨体の向こうにやけに冴え冴えとした満月が見えた。 月の光が反射し、男の手に持った刀が静謐な光を宿す。 真菰はその光を目で追い、刀の根元に何か文字が刻まれているのを見た。 無性に錆兎の顔が見たかった。 錆兎が無事なことはわかっていたが、錆兎の仇をとった今錆兎が生きていることを実感したかった。 朝焼けに染まる川辺の道をぬけ、家屋が並ぶ町並みをしばらく進む。 町並みが長屋から屋敷へと変わった辻を曲がると錆兎の生家の屋敷が見えた。 朝の甘やかな空気の中に混じる微かな血の匂いを感じ、義勇は錆兎の生家の屋敷まで走った。 嫌な予感がした。 立派な門構えは以前来た時と変わらず、ただ、いやに静かだった。 開け放たれていた門戸は固く閉ざされ、かけられていたはずの道場の看板がなくなっているのを見た時、自分はまた取りこぼしたことを知った。 景石に刻まれた傷に手を這わす。 鋭利な鬼の爪で抉られたであろうその傷にはしたたった血の跡が未だ残っていた。 かつて義勇をあたたかく迎えいれてくれた屋敷は血の残り香と喪失の静謐さで静まりかえっていた。 「おれは、ばかだ」 錆兎の両親が鬼に喰われることを知っていた。 だからこそ、鱗滝さんの元で出会ったのだから。 助けることは出来たはずなのに。 錆兎を殺した仇を討つことばかり考えて、錆兎の幸福を守ることを怠った。 「もどして、もどしてくれ」 崩れ落ちた膝に砂利が音をたてる。 ぼろぼろとこぼれ落ちる涙を拭うこともせず、義勇は慟哭した。 「っどうか、もう一度もどしてくれっ、もうまちがえないから、必ずすくうから……」 落ちた涙で砂利が色を変える。 いくら耳をすませても、望む声は聞こえない。 義勇の懇願だけが、喪失の静謐が満ちた庭に響いていた。 知っていたはずだった。 炭治郎に影響されて以前より鬼に対して哀れみを持つようになっている。 錆兎の仇の手鬼を斬った後、手を握ってあげたとか、あげないとか。 ちなみに錆兎の両親を救えば真菰が死に、真菰を救えば錆兎の両親が死ぬ、二者択一だった。 この義勇さんは逆行前、真菰と面識はない。 真菰という姉弟子がいたことは炭治郎に聞いて知っていた。 今回出番なかった天の声() すべてを救ってみせて、とは言ったが、すべてを救えるまでやり直させるとは言ってない 義勇さんの泣き顔が好き 純真無垢錆兎くん 両親に愛されてすくすく素直に育っていた錆兎くん。 箱入り息子で子どもらしい子どもだったが、鬼に両親を殺された後は鬼に対する義憤を胸に一本芯が通ったような原作軸錆兎になる。 武門の生まれらしく、目上への礼儀に厳しいが、義勇には弱いらしい。 水の呼吸一門大好き真菰 兄弟弟子たちに可愛がられて育った甘え上手な末っ子気質。 最終選別が終わって鱗滝さんの所に帰ったら弟弟子が増えてた。 手鬼に殺された兄弟弟子たちは真菰と一緒に鱗滝さんのところに帰ってきた。 植物のほうの真菰は神事に使われたりするとこから、生家は神社設定に。 神様に愛されているらしい……? 若干バーサーカー気質。 命の恩人の義勇さんを探しだして、鱗滝さんに紹介したい。
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