本好きの下剋上 結婚。 【本好きの下剋上】フェルディナンドは結婚する?年齢やローゼマインとの関係について

本好きの下剋上

本好きの下剋上 結婚

広間に入ると、夜の色をした髪にヴェールがかけられ、自分が贈った布を纏った楚々としたローゼマインの姿が目に入った。 ほんのりと化粧をされ、柔らかく色づいた唇には笑みが浮かんでいる。 そうして静かに佇んでいる姿は、まさしく聖女とも女神とも言える儚げな美しさがあった。 …口を開けば頭痛の種が増えていくだけなのだがな。 見目は美しく成長したにも関わらず、中身は全く変わらないのでその乖離がますます激しくなっている。 ローゼマインを知らぬ者は、国境門での拳を握ってとっていた変な格好や、羞恥のあまり床の上でのたうっていた姿など誰も想像だに出来ないに違いない。 以前と同じような感覚で、感情が高ぶると抱きついてくるのも頭が痛い。 いくら男女間のことに疎いとは言え、あまりに無防備すぎるだろう。 それと同時に、離れていた間変わらずにいてくれることに安堵してる自分もいることに気づき、不思議な気持ちになる。 アーレンスバッハで約束していた便りがふっつりと途切れ、何故か無性に苛立ちが募っていった時のことが思い出された。 口煩く余計な心配ばかりする、そう思っていたのに。 いざそれがなくなると、自分の中の何処かが穴が空いたようになった。 以前はそれが当たり前だった筈なのに、急にどうやってその空虚をやり過ごしてきたのかが分からなくなったのだ。 いくらローゼマインが便りを送ると言っても、お互い婚約者がいる身だ。 そのような遣り取りが続けられる訳がない。 ましてや他領に出て行った者なのだ。 そんなことは、最初から想定出来て当然の事ではないか。 それなのに、何故これほど鬱々とした気持ちになっていくのかが分からない。 これから先も、ずっとこの空虚を抱えて生きていかねばならぬのか。 それは想像するだけで、息が詰まるような恐ろしいものだった。 実際は自分を助けるためだけに一国を奪ってしまうという、呆れるくらいに想定外を仕出かすローゼマインは全く変わっていなかった訳だが。 私は溜息をのみこむと、社交的な笑みを振りまきながら壇上へと歩いていった。 式が始まり、ローゼマインが誓いの言葉を連ねていく。 …ふむ、ローデリヒがかなり頑張ったようだな。 どうなるかと少々心配していたのだが、内容も婚約式に相応しいようにかなり盛られているものの、問題ないようだ。 それが終わるとローゼマインがゆったりと上品な仕草で魔石が差し出してきた。 当日まで内緒だと隠していたが、果たしてどのような言葉を刻んだのだろうか。 魔石を受けとり、そこにある言葉を見て、周囲の状況が頭から消え去った。 虹色に美しく輝く魔石の中に浮かぶ、金色の文字。 貴方のマントに刺繍をさせて下さい その瞬間、様々なことが頭を過ぎった。 どうしても刺繍は嫌だと主張し、染め布や馬鹿みたいに魔力を使って訳の分からぬインクを作り出していたこと。 刺繍をするぐらいなら本を読みたい、婚約などしたくないとまで言い放ち、周囲を呆れさせていたこと。 …あれほど嫌がっていたではないか。 その刺繍を、自分のためにしたいと言う。 今まで感じたことのない感情が胸にじんわりと広がっていき、虚ろだった何かが満たされていく。 格子の向こうで羨望し、しかしそれを望む価値すら己にはないのだと白い場所で知り、とうの昔に諦めたもの。 銀色に鈍く光る髪飾り、山吹色に翻るマント。 誇らしい気持ちで受けとり、殆どないと言っても過言ではない、自分にとって大切な物が呆気なく奪われていった日々。 ただの魔石として産み落とされた自分には、それも仕方のないことだと分かっているのに、それでも胸の奥底でただひたすら渇望していたもの。 それが今、自分の掌にある。 そのことにどうしようもない感情が溢れ、私はそっと手の内にある幸福を包み込む。 少し視線を移せば得意気に、そして何故か嬉しそうに笑っているローゼマインがいる。 思わず頰をつまんでしまいたくなるのを堪え、ともすれば零れ落ちそうになる感情を抑えるために、私は口元を引き締めた。 図案は私が考案するぞ、と脅してみるも何時ものように怯む様子もなく、ローゼマインは全く意に介さないように微笑んでいる。 「フェルディナンド様」 ユストクスに小声で呼ばれ、私は振り返りユストクスが持つ小箱に魔石をそっと置く。 代わりに自分が作った魔石を手にすると、ローゼマインの方へと向かった。 跪き、神々の名をつらつらと並べてローゼマイン以外と縁を結ぶ気がないことを宣言する。 ローゼマインは先程とは違う貴族的な笑みを浮かべたまま聴いているが、その表情は明らかに真意を理解してない。 これは周囲への牽制でもあるから良いのだが。 ……余裕が出来たら神々の表現についてもう少し学ばせるべきか。 そんなことを考えながら婚約の誓いを述べ終わり、私は魔石をローゼマインに差し出した。 魔石恐怖症のことを気にしつつ、大丈夫かとじっと様子を伺う。 ローゼマインが魔石を手に取り見つめたかと思うと、一瞬で貴族的な取り繕いが剥がれ月のような金色が大きく見開かれた。 透き通るような白い肌がさぁっと朱に染まり、その熱で月が蕩けていくように潤む。 …まったく、このような場で淑女が感情を露わにするのではない。 「フェルディナンド様…。 あの、わたくし…」 言葉が掠れて途切れていく。 何かを伝えようと、言葉を必死に紡ごうとするその声は微かに震えていた。 それが何かは分からない。 けれどその姿に何故か胸を深くつかれ、私は衝動的に立ち上がると癒しを与える代わりに、目元の雫をそっと拭った。 感情が出過ぎだ、と叱ると私のせいだと言って頰を染めたままふくれている。 その時、感情を隠すことに長けているはずの貴族達から悲鳴のような声が上がった。 …この体勢はまずかったか。 思わずとってしまった自分の行為が、周囲からどのように見えるか安易に想像がつき、思わず溜息をついた。 「失敗したな」 不思議そうな顔をしたローゼマインが首を傾げる。 相変わらずこの状況が全く分かっていないようだ。 教えればまた何時ぞやのように動揺するに決まっているので聞くのではない。 背後にいるユストクスからの鬱陶しい気配を感じながら、私はハルトムートに儀式の続行を促した。 その後、私の婚約者は滔々と貴族達に理想の図書館都市構想を語り続け、頭痛の種をせっせと蒔いたのは言うまでもない。

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ダームエル (だーむえる)とは【ピクシブ百科事典】

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広間に入ると、夜の色をした髪にヴェールがかけられ、自分が贈った布を纏った楚々としたローゼマインの姿が目に入った。 ほんのりと化粧をされ、柔らかく色づいた唇には笑みが浮かんでいる。 そうして静かに佇んでいる姿は、まさしく聖女とも女神とも言える儚げな美しさがあった。 …口を開けば頭痛の種が増えていくだけなのだがな。 見目は美しく成長したにも関わらず、中身は全く変わらないのでその乖離がますます激しくなっている。 ローゼマインを知らぬ者は、国境門での拳を握ってとっていた変な格好や、羞恥のあまり床の上でのたうっていた姿など誰も想像だに出来ないに違いない。 以前と同じような感覚で、感情が高ぶると抱きついてくるのも頭が痛い。 いくら男女間のことに疎いとは言え、あまりに無防備すぎるだろう。 それと同時に、離れていた間変わらずにいてくれることに安堵してる自分もいることに気づき、不思議な気持ちになる。 アーレンスバッハで約束していた便りがふっつりと途切れ、何故か無性に苛立ちが募っていった時のことが思い出された。 口煩く余計な心配ばかりする、そう思っていたのに。 いざそれがなくなると、自分の中の何処かが穴が空いたようになった。 以前はそれが当たり前だった筈なのに、急にどうやってその空虚をやり過ごしてきたのかが分からなくなったのだ。 いくらローゼマインが便りを送ると言っても、お互い婚約者がいる身だ。 そのような遣り取りが続けられる訳がない。 ましてや他領に出て行った者なのだ。 そんなことは、最初から想定出来て当然の事ではないか。 それなのに、何故これほど鬱々とした気持ちになっていくのかが分からない。 これから先も、ずっとこの空虚を抱えて生きていかねばならぬのか。 それは想像するだけで、息が詰まるような恐ろしいものだった。 実際は自分を助けるためだけに一国を奪ってしまうという、呆れるくらいに想定外を仕出かすローゼマインは全く変わっていなかった訳だが。 私は溜息をのみこむと、社交的な笑みを振りまきながら壇上へと歩いていった。 式が始まり、ローゼマインが誓いの言葉を連ねていく。 …ふむ、ローデリヒがかなり頑張ったようだな。 どうなるかと少々心配していたのだが、内容も婚約式に相応しいようにかなり盛られているものの、問題ないようだ。 それが終わるとローゼマインがゆったりと上品な仕草で魔石が差し出してきた。 当日まで内緒だと隠していたが、果たしてどのような言葉を刻んだのだろうか。 魔石を受けとり、そこにある言葉を見て、周囲の状況が頭から消え去った。 虹色に美しく輝く魔石の中に浮かぶ、金色の文字。 貴方のマントに刺繍をさせて下さい その瞬間、様々なことが頭を過ぎった。 どうしても刺繍は嫌だと主張し、染め布や馬鹿みたいに魔力を使って訳の分からぬインクを作り出していたこと。 刺繍をするぐらいなら本を読みたい、婚約などしたくないとまで言い放ち、周囲を呆れさせていたこと。 …あれほど嫌がっていたではないか。 その刺繍を、自分のためにしたいと言う。 今まで感じたことのない感情が胸にじんわりと広がっていき、虚ろだった何かが満たされていく。 格子の向こうで羨望し、しかしそれを望む価値すら己にはないのだと白い場所で知り、とうの昔に諦めたもの。 銀色に鈍く光る髪飾り、山吹色に翻るマント。 誇らしい気持ちで受けとり、殆どないと言っても過言ではない、自分にとって大切な物が呆気なく奪われていった日々。 ただの魔石として産み落とされた自分には、それも仕方のないことだと分かっているのに、それでも胸の奥底でただひたすら渇望していたもの。 それが今、自分の掌にある。 そのことにどうしようもない感情が溢れ、私はそっと手の内にある幸福を包み込む。 少し視線を移せば得意気に、そして何故か嬉しそうに笑っているローゼマインがいる。 思わず頰をつまんでしまいたくなるのを堪え、ともすれば零れ落ちそうになる感情を抑えるために、私は口元を引き締めた。 図案は私が考案するぞ、と脅してみるも何時ものように怯む様子もなく、ローゼマインは全く意に介さないように微笑んでいる。 「フェルディナンド様」 ユストクスに小声で呼ばれ、私は振り返りユストクスが持つ小箱に魔石をそっと置く。 代わりに自分が作った魔石を手にすると、ローゼマインの方へと向かった。 跪き、神々の名をつらつらと並べてローゼマイン以外と縁を結ぶ気がないことを宣言する。 ローゼマインは先程とは違う貴族的な笑みを浮かべたまま聴いているが、その表情は明らかに真意を理解してない。 これは周囲への牽制でもあるから良いのだが。 ……余裕が出来たら神々の表現についてもう少し学ばせるべきか。 そんなことを考えながら婚約の誓いを述べ終わり、私は魔石をローゼマインに差し出した。 魔石恐怖症のことを気にしつつ、大丈夫かとじっと様子を伺う。 ローゼマインが魔石を手に取り見つめたかと思うと、一瞬で貴族的な取り繕いが剥がれ月のような金色が大きく見開かれた。 透き通るような白い肌がさぁっと朱に染まり、その熱で月が蕩けていくように潤む。 …まったく、このような場で淑女が感情を露わにするのではない。 「フェルディナンド様…。 あの、わたくし…」 言葉が掠れて途切れていく。 何かを伝えようと、言葉を必死に紡ごうとするその声は微かに震えていた。 それが何かは分からない。 けれどその姿に何故か胸を深くつかれ、私は衝動的に立ち上がると癒しを与える代わりに、目元の雫をそっと拭った。 感情が出過ぎだ、と叱ると私のせいだと言って頰を染めたままふくれている。 その時、感情を隠すことに長けているはずの貴族達から悲鳴のような声が上がった。 …この体勢はまずかったか。 思わずとってしまった自分の行為が、周囲からどのように見えるか安易に想像がつき、思わず溜息をついた。 「失敗したな」 不思議そうな顔をしたローゼマインが首を傾げる。 相変わらずこの状況が全く分かっていないようだ。 教えればまた何時ぞやのように動揺するに決まっているので聞くのではない。 背後にいるユストクスからの鬱陶しい気配を感じながら、私はハルトムートに儀式の続行を促した。 その後、私の婚約者は滔々と貴族達に理想の図書館都市構想を語り続け、頭痛の種をせっせと蒔いたのは言うまでもない。

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#本好きの下剋上 #フェルディナンド 婚約式(フェル視点)

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下記クリックで好きな項目に移動• 本好きの下剋上のフェルディナントの過去 本好きの下剋上の フェルディナンドは自分にも他人にも厳しい性格です。 その隙のない性格は幼少期のつらい 過去にありました。 フェルディナンドはアダルジーザの離宮で生まれ、先代アウブ・エーレンフェストに引き取られます。 しかし、義母になるはずのヴェローニカは母になることを拒み、 フェルディナンドに対して虐待を行います。 そんな環境で育った フェルディナンドは 家族というものに対して憧れのようなものを持っていました。 フェルディナンドはアダルジーザの実で魔石になるところだった フェルディナンドは アダルジーザの離宮というところで生まれました。 離宮で生まれたものは アダルジーザの実とよばれ、 最も優秀なものがランツェナーベの次期王に選ばれます。 アダルジーザの実の 次期王に 選ばれなかったものは処分され魔石として輸出されるという過酷な環境でした。 魔力が低いにもかかわらず全属性を持っていた フェルディナンド 幼名:クインタ は 魔石に適しており処分筆頭でした。 しかし、父親である先代アウブ・エーレンフェストが引き取ることになったため魔石となる運命を回避。 その後はエーレンフェストで ジルヴェスターの補佐役として フェルディナンドは過ごすことになります。 アウブ・エーレンフェストに引き取られるが義母から虐待を受ける フェルディナンドはエーレンフェストに引き取られてからは 異母兄のジルヴェスターの補佐役として一緒に過ごします。 父である 先代アウブ・エーレンフェストは フェルディナンドを 「エーレンバッハの誇り」と褒めていました。 しかし、義母になる予定だった ヴェローニカは次期領主のジルヴェスターの地位を脅かすとして 母となることを拒み、虐待をするようになります。 フェルディナンドのことを 徹底的に嫌い、役立たずは必要ないと精神的に追い詰めます。 父が不在の時には 毒の入った料理を出すなど命を狙うような仕打ちまでするようになりました。 この結果が逆に フェルディナンドの能力を引き上げ、更に優秀な人物になっていきます。 父親からの言葉は フェルディナンドにとって救いでもありましたが、領主という立場から存分な愛を受けることは少なかったようです。 このような 過去から フェルディナンドは 家族に対する情というものが薄いと後にマインに語っていました。 貴族院を優秀な成績で卒業。 その後神官長になる。 貴族院に入った フェルディナンドはその優秀さから 「神官長伝説」と マインに 呼ばれるほどの成績を収めていました。 領主候補生、騎士見習い、分館見習い全てで最優秀となります。 更には研究バカのヒルシュールの弟子となり フェルディナンド自身も研究に没頭するようになっていきます。 ただ、幼少期のヴェローニカの仕打ちから、研究結果や貴族院で得た「メスティオーラの書」などを 秘匿するようになっていきます。 この中には王族も知らない知識もあったとされていました。 貴族院を卒業した フェルディナンドは騎士団に所属しますが、直後に父である先代アウブ・エーレンフェストが亡くなってしまいます。 これにより ヴェローニカの フェルディナンドへの嫌がらせは本格的なものに変わったため、 ジルヴェスターの勧めで神殿に属することになりました。 当初は暇を持て余していたため本や魔術具を ジルヴェスターに送ってもらっていました。 そして、本は神殿の図書室に収めていたために、 マインが神殿に食いつき身食いの件も含めて フェルディナンドは今後付き合っていくことになります。 フェルディナンドがマインと結婚した理由は? 最終話付近で フェルディナンドと マインは 結婚することを決めます。 フェルディナンドが マインとの結婚を決めた理由は政略という面の裏側に マインの家族でありたいという強い思いがありました。 過去の出来事から 家族に対して情が薄かったフェルディナンドは マインとその家族に出会い親愛というものを理解しました。 フェルディナンドの結婚の理由はマインと家族であり続けたかった 本好きの下剋上の「671話 記憶3」では フェルディナンドが 家族という存在に対しての強い思いが描かれています。 それと同時に マインの家族となることを望み、そのために今まで計画的に動き、王すらも脅していました。 「貴族と平民として離れても細い繋がりを大事にする君と、君が伸ばした手を取ろうとしている家族とのやり取りを私はずっと見てきた。 そんな君が私を家族同然だと言ったのだ。 そして、言葉通り、アーレンスバッハへ離れても、繋がりを途切れさせることなく手を伸ばしてくれていた。 私の家族観を作ったのは君だ。 同調して嫌でも知ったであろう? 私がどれほど君の家族のような繋がりを渇望していたか」 フェルディナンドは 過去のヴェローニカによる仕打ちや、自身が先代アウブ・エーレンフェストやジルヴェスターに対して 家族の情が薄かったと自覚していました。 それは、 マインとその家族を見ていたから気づけたことです。 そして マインが家族と言ってくれたことをフェルディナンドは失いたくなかった。 めったに望みを言わない フェルディナンドの気持ちはマインに伝わり、 マインもまたフェルディナンドを大事に思っていたので2人は結婚をきめたのです。 まとめ ・本好きの下剋上のフェルディナンドにはつらい過去があった。 ・幼少期は虐待を受けて家族の愛を感じにくく、家族というものを望んでいた。 ・フェルディナンドの結婚の理由はマインと家族であり続けたかったから。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!.

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